『企画展 花器のある風景』泉屋博古館東京で 描かれた花器や花入の名品などを公開
2025年1月25日(土)より、六本木一丁目の泉屋博古館東京では、『花器のある風景』展が開催される。住友コレクションから花器が描かれた絵画と実際の花器を紹介する展覧会だ。 【全ての画像】浦上春琴《蔬果蟲魚帖》ほか広報用画像(全11枚) 日本における花器の歴史は、中国寺院における荘厳の道具として伝来したのがはじまりとされる。室町時代、連歌や茶会、生花など室内芸能がさかんになると、そこで披露される座敷飾りに中国から輸入された唐物の調度類が珍重され、やがて日本独自の建築空間である「床の間」に花を生けて飾られた。 第一章では、まず「描かれた花器」を紹介する。花器はすでに平安時代の仏画にも見られるが、江戸時代になると「花車図」という豪華なモチーフが登場する。これは牡丹や山吹、菖蒲など様々な花を花かごに入れて車に載せた主題で、もともとは神聖なものと考えられていた図像だったが、次第に豊かさや繁栄の象徴となり、吉祥のモチーフへと広がっていった。 また中国から日本に伝えられた珍しい花器は、室町時代以降、座敷飾りのひとつとして珍重されたが、こうした花器自体が関心を持って描かれていく。ここでは、唐子たちが花車を曳く《唐児遊図屏風》や、個性的な器に生けられた《春花図》ほか、描かれた多彩な花器を紹介する。 第二章では、住友家のコレクションより、茶の湯の名品花入が集結。とくに住友家を現代の住友グループへと導いた十五代春翠(1865-1926)は、数寄者として知られ、茶人・小堀遠州ゆかりの茶道具を収集した。同展では、唐物、和物問わず、清淡で典雅な遠州好みの花器などを紹介する。 また、第三章では、近年、華道家の大郷理明氏より94点もの花器が寄贈されたことを記念し、その中核となる銅花器を「大郷理明コレクションの花器」として一挙公開。さらに第4章では明治時代以降の近代の花器や洋画も展示する。 講演会やワークショップなどイベントの詳細は、美術館ホームページで確認を。 <開催概要> 『企画展 花器のある風景』 会期:2025年1月25日(土)~3月16日(日) 会場:泉屋博古館東京