上位の牙城を崩す者は現れるか? マスキュラー部門は元王者が再起のステージへ
今週末28日・29日の2日間、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)主催の2024年のフィットネス競技の頂上決戦「オールジャパン・フィットネス・チャンピオンシップス2024」が岡山芸術創造劇場にて開催される。28日は年齢別のマスターズクラスの審査を実施、そして29日は身長別にクラス分けして各階級の日本一を決定する。ここでは、メンズフィジークおよびマスキュラーフィジークにスポットを当てる。 【フォト】2023年のフィットネス頂上決戦を写真で振り返る メンズフィジークは5階級に分かれて審査を実施。まず168cm以下級に関しては、2連覇中の木村拳太の優位は揺るがないだろう。その先に待つオーバーオール決戦「フィットネス・グランドチャンピオンシップス」(通称グラチャン)では昨年4位ということもあり、そこでのTOP3を目指して調整を進めていくはずだ。グラチャンで5位だった手島祐も同階級であり、一騎打ちに近い戦いになる可能性は高い。 172cm以下級は昨年のTOP3である長澤秀樹、増原駿、上松康一郎が今年もエントリー。特に長澤はグラチャンで昨年2位と日本王者・伊吹主税に迫る完成度を誇るだけに、彼らの牙城を崩すのは簡単ではない。その伊吹が属する176cm以下級も、外間博也らの躍進に期待しつつも、伊吹の地位は堅いだろう。もしここで優勝ということがあれば、それはそのままグラチャン制覇も見えてくる階級だ。 180cm以下級の昨年王者・穴見一佐は今夏のスポルテックカップで一度ステージに立ち、盤石のボディで見事に優勝。ジュニア時代から実績を積んできた男も今年で27歳、毎年その風格は増している。グラチャン6位に食い込んだ渡辺和也がどれだけ彼に迫ることができるか。
昨年に上位が激しく入れ替わった180cm超級。優勝した奇埈成は関西地区の大会で実績を残し、日本レベルの戦いでは突如現れて頂点に立った23歳のダークホースであった。グラチャンには出場しなかったが、“理想的なフィジーク”と言えるボディを披露したのは印象的。津森一誠や門井大といった上位陣も、変わらずバランスの良い仕上がりを見せるはずだ。 筋量が重視されるフィジーク競技「マスキュラーフィジーク」には今年は18人がエントリー。最大の注目は、今夏までメンズフィジークで出場を続けてきた直野賀優だ。昨年にメンズフィジークの評価基準が見直された(おおまかに言うと、筋量が規格外の選手は評価されにくい)こともあり、バルク派の彼はその影響が顕著に順位に反映された一人。 今夏のスポルテックカップでは、2022年のオールジャパン優勝者がまさかの予選落ちという屈辱を味わったこともあり、ついにカテゴリー転向を決断。クラシックフィジーク初参戦を経て、マスキュラーフィジークで再び日本トップの座を狙う。また、2022年まで168cm以下級で木村とバチバチ上位を争っていた西﨑空良は、今年はマスキュラーフィジークにエントリー。バルキーなフィジークボディに期待がかかる。 このオールジャパン選手権が今シーズン初戦という選手も多く、昨年の実績を基に名前を挙げたが、ステージに立ってみないとわからない部分が多いのが実情だ。順位の入れ替わりが少ない競技ではあるが、彗星のごとく現れた奇のように、思わぬ選手の出現も楽しみにしたい。 ■2023年大会結果 【168cm以下級】 優勝:木村拳太 第2位:手島祐 第3位:松原大貴 第4位:今村雅哉 第5位:木村綱希 第6位:山城訓之 【172cm以下級】 優勝:長澤秀樹 第2位:増原駿 第3位:上松康一郎 第4位:下前佑吏 第5位:京角省吾 第6位:小泉渓 【176cm以下級】 優勝:伊吹主税 第2位:外間博也 第3位:山形秀幸 第4位:葛西武郎 第5位:大島健一郎 第6位:山本晴也 【180cm以下級】 優勝:穴見一佐 第2位:渡辺和也 第3位:八巻晴太 第4位:桂山晃輔 第5位:黄翔輝 第6位:原田吉史 【180cm超級】 優勝:奇埈成 第2位:津森一誠 第3位:直野賀優 第4位:門井大 第5位:柴田雄紀 第6位:吉崎祐太 【マスキュラーフィジーク】 優勝:川中健介 第2位:福原俊介 第3位:井上太平 第4位:中里涼 第5位:栗本康弘 第6位:副島直樹
文・写真/木村雄大