能登半島地震の住宅被害なぜ多発? 「キラーパルス」、さらに耐震基準“2000年改正”とは【WBS】
最大震度7を観測した能登半島地震は発生から2週間が経ちました。被災地ではJR線の一部が運行を再開するなど復旧が少しずつ進む一方で、いまだ1万6000人以上の被災者が避難生活を余儀なくされています。その要因となったのが、家屋の倒壊で被害の全容は把握できていません。なぜ住宅被害が多発したのか、取材しました。 【動画】能登半島地震発生から2週間 約2万人が避難 能登半島で鉄道が一部運転再開 能登半島地震の発生から2週間、被災地で運行を再開したのは、地震の影響で運休していたJR七尾線の高松ー羽咋間。列車の本数を減らし15日に運行を再開しました。 七尾線ではこのほか、羽咋ー七尾間が22日以降に復旧する見通しとなりました。ただ、さらに北へ向かう和倉温泉までの区間は線路の被害が大きく、再開のめどは立っていません。 今回の地震による死者は災害関連死も含め222人(15日時点)。石川県は15日、遺族の同意を得た犠牲者23人について、氏名とともにその死亡原因も公表しました。死亡原因をみると、家屋倒壊による死亡が7割を超えています。 今回の地震による家屋の倒壊や損壊は2万棟近くに上りました。ただ、より被害が多かった輪島市や珠洲市では調査が追いつかず、被害は多数と報告されたままで、被害はさらに拡大しそうです。
過去最悪クラスのキラーパルス
建物への被害が出た原因は何なのでしょうか。いち早く現地で調査をした金沢大学の村田晶助教は「キラーパルスというのが影響している。想定外」と話します。 キラーパルスとは、揺れの周期が1~2秒で小刻みな揺れを起こす地震波。この揺れは木造の住宅の揺れを増幅させる共振と呼ばれる現象を引き起こし、甚大なダメージを与えるといいます。今回観測されたキラーパルスは、阪神淡路大震災と同等と過去最悪クラスで、これが大きな被害が出た一つの要因ということです。 さらに要因は他にもあります。 「輪島市内の大通り沿いです。全く倒壊していない家屋がある一方で、道の反対側を見てみると家が完全に押しつぶされています」(金子水紀記者) 近接する場所で倒壊した建物と無事だった建物が出ていました。村田助教は耐震基準の問題を指摘します 「全体的に建物の耐震強度は、今回の地震に対して少し足りなかった」(村田助教) 1981年、震度5強の地震を想定した古い耐震基準に変わり、震度6強から7程度の地震でも倒壊しないことを基準に法律が改正されました。 全国では、この新耐震基準に適用した住居が9割近くに上りますが、家屋の倒壊が多かった輪島市や珠洲市は平均を大きく下回り、5割前後でした。 しかし、村田助教によりますと、1981年以降に建てられた新耐震基準の建物でも、損壊があったといいます。 「耐震基準は1995年の阪神淡路大震災を契機に2000年に改定された。2000年以降に建築された比較的新しい家屋とそれ以前の家屋では、同じ揺れでも被害の違いが出る」(村田助教)