「孫節」全開 「ASIで人類進化させる」 ソフトバンクG株主総会
ソフトバンクグループ(SBG)は21日、東京都内で定時株主総会を開いた。孫正義会長兼社長は「人類を進化させるASI(人工超知能)をやる。それが僕の使命だ」と強調。最先端の人工知能(AI)にグループの経営資源を集中投下する考えを表明した。 【写真で見る】iPhone、独自生成AI搭載へ チャットGPTも 孫氏が冒頭「この1年、複雑な連立方程式を解いてきた。ようやく今朝4時に解けて『やったー』って慌てて電話しまくった。今日は総会どころじゃない。うれしくてしょうがない」と孫節を展開すると、会場から拍手が起きた。 孫氏によると、「連立方程式」とは人知を超えたASIのこと。昨年来、AGI(汎用(はんよう)性のある人工知能)を「人類の英知の10倍」と定義し「取り組んだ企業や人物が10年後、20年後に一気に人類のリード役になる」と語っていたが、この日は「ASIはどの天才よりも1万倍賢い。孫正義はこれを実現させるために生まれてきた」と力説。ASIは10年後には実現するとの見方を示し「これまでのソフトバンクは、(ASI実現のための)準備運動だった」とも述べた。 ASIの実現には最先端の半導体が欠かせない。そのためグループ中核企業のソフトバンクを通じて米半導体大手のエヌビディアなどと提携。堺市のシャープ液晶パネル工場跡地に大規模なデータセンターを整備する。孫氏は「データセンターを世界中に作る。グループの総力を挙げてやる。技術面でもパートナーとやる。志を共有する仲間とゴールを達成できればいい」として、協業を加速させる考えを示した。 2016年に約3・3兆円で買収した英半導体大手アームが23年9月に上場し、保有株式価値から純負債を差し引いたSBGの時価純資産(NAV)は直近1年ほどで14兆円から34兆円に増えた。SBGは24年3月期連結決算で3期連続の最終(当期)赤字に陥ったが、孫氏は「財務会計ではなく、事業価値を測るべきだ」と主張。その上で、20兆円増えたNAVも「壮大な使命に比べたら、そんなの誤差だ。どうでもいい」と語った。 一方、対話型AI「チャットGPT」を開発した米オープンAIへの1兆円の投資をサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)に持ちかけたものの実現しなかったことも明らかにした。同社が米マイクロソフトから1・3兆円の投資を受け入れたことに触れ「正しい判断だった。逃した魚は大きいけれど、語ってもしゃあない」と笑いを誘った。【古屋敷尚子、藤渕志保】