望海風斗がドラマティックコンサート「Hello,」で見せたクールで華やかなパフォーマンス
2023年、ブロードウェイ・ミュージカル「ドリームガールズ」や「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」などに出演し、圧倒的な表現力で第30回読売演劇大賞優秀女優賞、第48回菊田一夫演劇賞など数々の演劇賞を総なめにした望海風斗。宝塚歌劇団雪組時代から、歌唱力に定評のあった彼女によるドラマティックコンサートの第2弾「Hello,」が、2024年3月から東京・福岡・愛知・大阪の4都市にて開催された。 【写真を見る】コンサートの舞台に登場する望海風斗 夜のとばりを思わせるブルーのライトに照らされたステージに、肩と背中が露出した桜色のシフォンブラウスにホワイトのスリムパンツ&ロングブーツという、宝塚の男役時代では決して見ることのできないグラマラスな衣装で望海が登場。満面の笑みを浮かべながらコンサートのタイトルでもある「Hello,」と客席にあいさつをしてから、笑顔で平井堅のハッピーチューン「POP STAR」をダンサーと共に元気いっぱいにパフォーマンスした。続けて披露した松任谷由実の「真夏の夜の夢」では、間奏で「皆さんの五感をすべて解放し、楽しんでもらえるショーをお届けします!」とメッセージを送ると、その言葉に呼応するように色とりどりのペンライトが会場で揺れる。アン・ルイスの「あゝ無情」ではセクシーに、美空ひばりの「お祭りマンボ」ではドラマチック&パワフルな歌声を響かせた。 この日最初のMCでは、2024年の春は、宝塚歌劇団を卒業して4年目、そして初舞台を踏んでから21年目であることを告げた望海。「21年目を踏む前に、ちょっと懐かしい自分との再会をしてみたいなと思います」と言い残して、一度ステージを後にするが、しばらくして沢田研二の名曲「勝手にしやがれ」の印象的なイントロが流れると、客席に白いハットとティアドロップサングラス、真紅のジャケットを羽織った背中を向けたままで、宝塚男役時代を思わせる低音の美声を響かせ、観客を魅了する。歌詞に合わせ、バーボンの小瓶を手にするなど、ミュージカル的ステージングで楽曲を盛り上げるのは、宝塚時代にも歌った「愛は枯れない(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」より)」でも同様。ステージ上に置かれた赤いバラを胸に挿しての熱唱や、ハットをスタンドマイクに掛けて姿を消すといったドラマチックな演出に会場が酔いしれた。 次にステージに現れた望海は、黒のベストにワイドパンツというシックなスタイルで、子どもの頃から好きだったというカーペンターズの「Top of the World」からはじまる、往年の洋楽ヒットメドレーを圧倒的な歌唱力で歌い上げる。そして、続くMCでは、「ちょっと懐かしい自分との再会」という言葉に繋がる、2023年10月に出演した「宝塚歌劇 雪組 pre100th Anniversary『Greatest Dream』」についても言及。宝塚を卒業した男役スターたちが持っているという、いつでも男役に戻るための「男役スイッチ」が、自分にはどこを探しても見当たらなく、不安を感じていたが、舞台稽古でスイッチを手に入れたと笑顔で報告。「その(男役)スイッチを手に入れたので、使い分けていこうかなと。そんなコンサートになったら楽しいんじゃないかな、という思いがありまして」と、今回のコンサートへの意気込みを語った。「私は役者として舞台に立っています。舞台に立っているとたくさんの刺激を受けることができます。日常では起こせないことが起こせるからです」という、MCから繋がるコーナーでは、ダンサーとのコミカルな掛け合いのあと、「ここでは、なんでもできる」という言葉をきっかけに、望海の男役スイッチが入る。ハットを目深にかぶり、「摩天楼のジャングル(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」より)」など、ミュージカルナンバーをダンサーとの群舞など、宝塚時代を思わせるクールで華やかなパフォーマンスを披露した。 そして、昨年のドラマチックコンサートのテーマソングでもある「Look at Ⅿe」のメロディーにのせ、ダンサーやバンドメンバーの紹介をした後は、スパンコールが輝くゴージャスなロングドレスに着替えた望海が「ジーザス・クライスト=スーパースター」や「ディア・エヴァン・ハンセン」などのミュージカルナンバーを熱唱。タイトルロールを飾ったミュージカル「イザボー」からの「Queen of the Beasts」や、「ドリームガールズ」の「Listen」での圧倒的な歌声に、客席から惜しみない賞賛の拍手が送られた。 アンコールでは、コンサートツアーTシャツとジーンズ、白いスニーカーに着替え、アンジェラ・アキが作詞・作曲したドラマチックなミディアムナンバー「Breath」を情感たっぷりに歌い上げた望海。最後は、彼女がヒロイン、サティーン役を務める「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」から、エルトン・ジョンの「Your Song」でドラマチックコンサートに幕を下ろした。 文=中村実香
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