黒田の広島復帰を全米メディアはどう伝えたか
ニューヨーク以外のメディアでは、「ファンシールド」というスポーツサイトが、「パドレスがオファーを出していた」と伝えていた。1年、1800万ドル(約21億円)という条件だったそうだが、「もしもパドレスと契約していたら、最高の先発4番手だったのではないか」と報じている。このオフ、パドレスは積極的に動き、オールスターのマット・ケンプ、ジャスティン・アップトン、デレク・ノリスらを獲得し、今は、先発投手の補強に着手しているが、黒田が獲得できれば、ナ・リーグのどのチームとも争える戦力になったのでは、との見方はもっともだ。興味深いチームになっていただろう。 さて、改めて黒田が広島に復帰することに対する反応を辿っていると、黒田がメジャーで残したものの凄さが透ける。なにより安定感が抜群で、それは日本時代から変わらないものだ、との指摘もあった。例えば、mlb trade rumors.com には、こんな数字が紹介されていた。 防御率 奪三振率(K/9) 与四球率(K/9 MLB(2008~2014) 3.45 6.7 2.0 NPB(1997~2007) 3.69 6.7 2.4 指摘通り、ほとんど数字が変わらない。また、広島でデビュー以来、大きな故障もない。その2つに対する高い評価は、どのメディアでも共通していた。 そんな黒田に対して、ファンもまた、失望を隠さない。NBCスポーツのコメント欄には、「いつも冷静に結果を出してくれた」。「ドジャースファンとしていつも、感謝していた」といったヤンキース、ドジャース両ファンのコメントが並んでいたが、こんな投稿もあった。 「彼が、私のファンのチームを相手にマウンドに上がるとき、いつも大嫌いだった」 黒田を認めていたのは、彼が所属したヤンキースとドジャースファンだけではなかったようだ。 なお、メジャーに残っていれば、年俸は広島の5倍を超えていたかもしれないが、mlb trade rumors.com は、キャリアのこの時点でチームを選べることこそ、得難いものではないかと指摘。お金では買えないものへの理解を示していた。 ところで、ヤンキースは黒田の動きを受けて、どう動くか? CBSスポーツは、まだ契約していないのは、シャーザーだ! と締めくくっていた。 デトロイトタイガースで5年連続で2桁勝利をあげ、今季も18勝5敗の数字を残してFAとなったマックス・シャーザーである。ヤンキースは、ここまで何度も「シャーザー獲得に動くことはない」と強調しているが、果たして……。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)