ノーベル平和賞授賞式 福岡から唯一出席の被爆者の男性「核や平和を考えて口にしてくれることが増えれば」
FBS福岡放送
ことしのノーベル平和賞に選ばれた日本被団協が、日本時間の10日午後9時にノルウェー・オスロで行われる授賞式に出席します。出席する代表団の一人で、福岡市在住の被爆者の男性は、核なき世界に向けた思いを新たにしています。
■中村国利さん(80) 「ノーベル平和賞の受賞の一報を聞いた時には、本当にびっくりしました。思わず『ウソ』と言ってしまいました。」 授賞式を5日後に控えたこの日、福岡市では、被爆者や平和活動に取り組む団体のメンバーが集まり、日本被団協のノーベル平和賞を記念した勉強会が開かれていました。 ■ノーベル委員会の発表 「ことしのノーベル平和賞を、日本被団協に決定しました。」
1956年に結成された日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会は、被爆者への支援や核兵器廃絶を世界に訴え続けてきました。ことし3月末の時点で、福岡県内にはおよそ4300人の被爆者がいます。 九州ブロックの代表理事を務める中村国利さんは、福岡から唯一、授賞式に参加します。 ■中村さん 「ノーベル平和賞受賞に感謝し重みを感じながら、皆さんとともにこれからも核兵器廃絶運動を強化していきたい。再び被爆者をつくらないために。」
中村さんは1歳の時、長崎市の爆心地からおよそ2.5キロのところで被爆しました。 ■中村さん 「僕と両親と3人家族やったけど、原爆を落とされたところから山の陰になっていて難を逃れた。生かされている身だから、被爆者の運動に関わるのも必然。」 中村さんに直接的な経験を語る記憶はありません。それでも、被爆者の1人として何か役に立てることがあればという思いで、被爆者の話を朗読劇にするなど被爆の恐ろしさを後世に伝える活動をしてきました。しかし、当初15人いたメンバーは半分以下に減り、現在は活動を継続できていません。
そんな中での被団協のノーベル平和賞受賞に、中村さんは世界から目を向けてもらう大きなチャンスと捉えています。 ■中村さん 「このチャンスを大事にして、みんなが平和や核のことを考えてくれる、口にしてくれる、そういうことが増えていけばいいなと思う。」 7日に福岡を出発した中村さんは、ノルウェーでは授賞式に出席するほか、地元の学生との交流も予定しています。 ■中村さん 「戦争してはいけないとか、核兵器は必要ないとか、そういうことを訴えながら、みんながどういう反応をしてくれるか楽しみ。核なき世界を目指して声を上げてもらいたいというのが、僕らの願い。」 中村さんを含む被団協の代表団およそ30人は、日本時間の10日に現地入りし、午後9時から行われる授賞式に臨みます。