週刊・新聞レビュー (11.18) 「衆院選 12月14日投開票 野党連携が勝敗のカギ」 徳山喜雄
立ち位置がよく分かる見出し
衆院解散に伴う衆院選が12月2日公示、14日投開票の日程となった。アベノミクスの評価が争点になりそうだ。自民党が優位な「1強多弱」の政治情勢を考えると、選挙の勝敗を決めるカギは、多弱の野党がどこまで結束できるかであろう。 朝日新聞は11月15日朝刊の1面で「民主党(海江田万里代表)と、みんなの党(浅尾慶一郎代表)が合併に向けて協議を始めることが14日、わかった」と特報し、2面で「選挙協力の成否が、総選挙での獲得議席に直結する」と読み解いた。 みんなは渡辺喜美前代表が安倍晋三政権との連携をめざしており、浅尾氏は党分裂まで覚悟しているという。維新の党(橋下徹、江田健司・両共同代表)と生活の党(小沢一郎代表)も野党候補の相討ちを避けるため、やはり民主党との連携を模索しているようだ。 読売や産経、毎日新聞は11月16日朝刊で「野党再編 にわか構想」(読売)、「みんな 民主との合流構想/両党に『異論』と『難色』渦巻く」(産経)などと見出しを取って、朝日の後追いをした。朝日の「野党 選挙協力を加速」とする見出しに比べ、読売、産経が否定的な言葉を使っているのがわかる。 読売は「……基本政策のすり合わせは後回しで、にわか仕立ての『再編劇』が支持を広げられるかどうかは不透明だ」としつつ、「〔新党〕構想の特徴は、民主党を分党することだ。再編に慎重な海江田代表らの『民主党A』と、積極的な前原〔誠司〕氏らの『民主党B』に分党したうえで、『B』を受け皿に、労組排除を掲げる橋下氏やみんなの党を結集し、『野党の大同団結』を図るものだ」と解説した。 産経は「合流構想は……みんなの党内でも強い異論がある。それを見越した民主党は難色を示しており、見通しは不透明だ」と読売と動揺に「不透明」という言葉を使っている。 一方、毎日は「野党 競合区調整急ぐ」と見出しを取り、「野党各党は選挙協力の調整を急いでいる。2012年の前回衆院選では、自民党への対抗候補が小選挙区で競合して共倒れするケースが相次ぎ、『自民党1強』につながったとの反省があるため」と中立的に書いていた。 与野党のどちらに肩入れしているのか、各紙の立ち位置がよく伝わってきた。