イケメンゴリラ、シャバーニの表情をより間近で見やすく 東山動物園に新施設
名古屋市千種区の東山動植物園で6日、新しい「ゴリラ・チンパンジー舎」がオープンしました。「イケメンゴリラ」として大ブレークを果たしたニシローランドゴリラ、シャバーニの家族などにとって待望の“新居”。シャバーニ人気も健在で、一般公開と共に大勢の来園者が新施設を訪れていました。
広さ日本一の屋内展示室
正門から入って左手に広がる動物園北園の一画「アフリカの森」エリアに設けられた新施設は、主に屋内展示室と屋外運動場の2つのエリアで構成。屋内展示室は広さ日本一を誇り、その中のゴリラ舎には高さ5メートルの鉄製タワーが設けられ、天井には多数のロープがぶら下がっています。 現在のところゴリラは屋内展示室のみで姿を見ることができます。シャバーニとその家族たちは、引っ越しに伴い6月から姿を見ることができませんでしたが、この日は約3カ月ぶりに「イケてる」顔を見せてくれました。
「ゴリラは環境の変化などにとても敏感。この新しい場所に慣れるまでにも時間がかかり、移動直後はストレスで体重が15キロほど低下するなど心配させられました。しかし今は落ち着いて、家族とこの広い空間で過ごしています」と広報担当の石川恭之さん。 「実はゴリラは動きがとても早く、ダイナミックな動作をすることも。新しい施設ではゴリラが上下移動したり、高い位置でロープを使って横移動したりする姿も見られますよ」 この日は移動後初の一般公開で大勢の人が押し寄せたためか、シャバーニたちは少しおとなしいような印象。それでも何頭ものゴリラがロープで天井近くまで上り、2つのロープを足に絡ませて器用に座り込むような格好なども見せてくれました。
「イケメン」な表情がより見やすく
この日の入場客は家族連れやカップルが多く、やはりほとんどは「シャバーニ目当て」の様子。シャバーニが座ったり移動をしたり動きを変えるごとに歓声が上がり、カメラ片手にシャバーニを追う“追っかけ”も。 年に数回は訪れるという市内の家族は「以前は人気すぎて人がいっぱいで、小さい子を連れて入るのをあきらめたときもありました。でもきょうはばっちり。旧舎と比べて全体的に明るくなり、表情などが見やすかった。また来たい」とうれしそうでした。 石川さんによれば、シャバーニのブレークは一過性の盛り上がりかもという職員の声がありました。しかし、その心配をよそに人気は今も続いています。 「一昔前は東山といえば『コアラとゾウ』。それが今では『シャバーニ、コアラ、ゾウ』と言われるようになり、完全な定番になりました。県外の人は、動物園の名前は知らなくてもシャバーニは知っているというくらい。ブレークから時間は経ちますが、これだけ世間に定着したことはうれしい」 新施設にはシャバーニをモチーフにしたフォトスポットも多く用意され、楽しめる空間づくりがされています。しかし、本来の目的はゴリラに関する情報を提供すること。 「この改装とシャバーニ効果をもっと有効活用し、貴重な動物の一種であるゴリラ自体に興味を持ってもらいたい。そもそも日本の動物園にゴリラが非常に少なく、繁殖がとても難しいなど、まだよく知られていないことがたくさんあります。子どもの自由研究などにも活用してもらい、最終的には生態をよく知ってもらえるようになるのが今の目標」と石川さんは気を引き締めていました。