WAT'S GOIN' ON〔Vol. 7〕日本バスケットボール界をひとつにまとめた力業 そして華々しきBリーグ開幕
常勝だけがプロスポーツチームの存在意義なのだろうか…既存のプロスポーツ観に逆らうようにBリーグ誕生以前から活動を続ける不思議なプロバスケットボールチーム《青森ワッツ》の魅力に迫る。台湾プロバスケットボールリーグの新竹ライオニアーズとのグローバルパートナーシップ締結など、アリーナに収まらない活動を開始した青森ワッツが地元青森にどのような波及効果をもたらし得るのか、また、いかにしてプロスポーツチームのあり方を刷新してゆくのか、その可能性を同チームの歴史とともにリポートする。〔全13回〕
統合か、消滅か
さて、難航し続けていたふたつのリーグの「統合」は、どのようにおこなわれたのか。最終的に確定した未来については、全員が知っている。2024年12月の時点で、日本にはBリーグが存在しているからだ。ならば、このBリーグはbjリーグとNBLの統合の結果なのかといえば、それも違う。 2014年末にFIBAから強烈な制裁を受け、2015年1月に開催されたタスクフォースの会議には、これまた強烈な面々が揃えられていた。Jリーグをプロ野球に次ぐ巨大スポーツ産業に育て上げた川淵三郎、FIBAのインゴ・ヴァイス、JOC(日本オリンピック委員会)専務理事の青木剛、日本体育協会専務理事の岡崎助一など10人のタスクフォース・メンバー、オブザーバーとして文科省から久保公人、FIBAからは事務総長のパトリック・バウマンが入った。 ここから、約2カ月後におこなわれたタスクフォースの会議までの間、集められた強烈な面々は、常識では考えられない速さで事態を整理し、新たなロードマップを構築した――統合ではなく、消滅。 過去5年以上にわたって「統合」をめぐる駆け引きが続いていたのは、bjリーグとNBLが、いずれも自分たちに有利なルールで「相手リーグを吸収すること」に囚われてしまっていたからだった。 そこで、タスクフォースは第3の道を選んだ。bjリーグでもNBLでもない、まったく新しいプロリーグを発足させることを決めたのである。そして、当時、bjリーグとNBLに属していた36のチームに対して、所属するリーグに「退会届」を出さなければ新たなリーグには参加できない旨を通知した。こうして、10年にわたって競い合い、反目してきたbjリーグとNBLは、その姿を消したのだった。