ウナギ稚魚1500匹放す 自然保全へ、子供40人初参加 三重・大台町
ダムで遡上できず、宮川で激減 水産振興活性化実行委がイベント
三重県多気郡大台町滝谷の清流茶屋付近の宮川で、22日午前10時から「ニホンウナギ」の放流イベント(水産振興活性化事業実行委員会主催)が行われ、町内の町立宮川保育園4、5歳児クラスの園児と、同宮川小学校の1、2年生計約40人が参加した。生きているウナギを初めて見る子供も多く、興味深そうに観察しながら放流を楽しんだ。 同実行委員会は、水産業の活性化と観光入り込み客の増加を図ることを目的に、行政や観光、漁業関係者などで2020(令和2)年3月に設立。レディース鮎(あゆ)釣り選手権などを行っている。 ニホンウナギの放流は、宮川上流漁業協同組合(細渕元彦組合長、約1500人)が毎年実施しているが、今回は、子供たちにも宮川の自然保全について知るきっかけにしてもらおうと、初めて子供向けのイベントとして開いた。 この日は、伊勢市の養殖業者から仕入れた体長約20センチの稚魚約20キロ(約1500匹)を用意。同組合の役員ら約10人が、子供たちの人数分のバケツにウナギの稚魚を分け、園児、小学生の順に一斉に放流した。ウナギはそのまま川の流れに乗らず、砂の中に潜ったり、石の隙間に隠れるなどしてとどまったりするものもいて、子供たちは「わぁ、戻ってきた」「かわいいね」など口々に言いながら観察していた。 宮川保5歳児クラス・千葉浄雲君は「ウナギを初めて見た。(川の中に)逃がすのが楽しかった」と話した。 細渕組合長(64)=岩井=によると、宮川に三瀬谷ダム(弥起井)が完成してから、ウナギが上流に上がって来られなくなって数が激減したため、放流を行っているという。「今回、初めて子供たちにも参加してもらったが、こんなに喜んでくれるとは思わなかった」と目を細めて見守っていた。