「若い女性の痩せ問題」普通体重よりも糖尿病リスク約2倍 体形より意識すべきことは
健康のことを考えると「痩せている方がいい」という人も少なくないだろう。実は大いなる認識間違いだという。AERA 2024年5月13日号より。 【写真】糖質疲労を防ぐ!ロカボの食事法(朝食・夕食)がこちら * * * 更年期対策に運動がいいと聞いて筋トレをしていたら、腰痛悪化で歩けなくなり鍼灸院通い──。記者の実体験だ。よかれと思ってやっていることが、逆に健康を妨げていることは結構ある。 近年、「大いなる認識間違い」として注目を集めているのが「痩せている方がいい」という考え方だ。糖尿病専門医で、順天堂大学国際教養学部教授の田村好史医師は、「特に若い女性の痩せ問題は、解決しなくてはならない課題」と指摘する。 というのも、痩せていると、糖尿病リスクが高まることが明らかになっているからだ。 辰巳友佳子氏らが実施した40歳から79歳の非糖尿病の日本人女性4654人を対象にした研究では、「痩せ(低体重)」に該当するBMI(体格指数)18.5未満の人の糖尿病リスクは、普通体重の人の1.93倍。BMI25以上で「肥満」の人は1.74倍なので、数値的には痩せている方がリスクが高くなった。ちなみに、身長160センチ・体重47キロの若い女性はそう珍しくないと思うが、BMIを計算すると18.36で「痩せ」の範疇に入る。 痩せていると、なぜ糖尿病を招くのか? キーワードとなるのが脂肪筋(骨格筋細胞内脂質)だ。 「脂肪筋とは、肥満とは別に、骨格筋の筋細胞に過剰に蓄積された脂肪のこと。これが毒性を発揮してインスリンの働きを悪くし、糖尿病のリスクを上げるのです」(田村医師)
■体形よりも中身が重要 脂肪筋は、運動との関係が深く、運動量が少ないと、溜まりやすくなる。田村医師の研究で、片足をギプス固定して動きづらくするとわずか24時間でも脂肪筋が蓄積し、インスリンの効きが悪くなることが判明している。 「体形よりもその中身が重要です。しっかり食べてしっかり運動している、健康的な痩せならそれほど心配ないかもしれません。これは肥満でも同じで、BMIが高くても、しっかり運動している人は疾患リスクがそこまで高くないことも示唆されています。しかし『食べない・運動しない不健康な痩せ』『食べ過ぎ・運動しない不健康な肥満』は運動不足のリスクを認識しなければなりません」(田村医師) “不健康な痩せ”の最大のリスクは、月経異常や骨減少症になりやすいことだ。骨密度は10代で上昇し、20歳ごろにピークを迎えて以降は増えないので、更年期以降の骨粗鬆症、骨折、ひいては寝たきりや要介護状態にもつながりかねないという。 (ライター・羽根田真智) ※AERA 2024年5月13日号より抜粋
羽根田真智