「今が幸せ」兒玉遥が語る“ぶれない心”の在り方
HKT48の元メンバーで、現在は俳優として活躍する兒玉遥。9月29日、10月6日放送の「しくじり先生 俺みたいになるな!!」(テレビ朝日系)では、過剰な反省で自分を追い詰めていたアイドル時代の“しくじり”を赤裸々に告白した。WEBザテレビジョンのインタビューでは、芸能界に復帰した彼女の現在の心構えや同じ悩みを持つ人へのメッセージを語ってもらった。 ※インタビュー前編から続く 【写真】兒玉遥は「生きてさえいればいいことがあります」とポジティブに考える大切さを語る ■達成感や満足感をどう見つけて味わうかということが大事 ――復帰後、初のお仕事は何でしたか? 2019年9月の「私に会いに来て」という舞台でした。お芝居に対する自信もなかったし、そんなに経験もなかったので大変でしたし、怖かったです。現場では私が一番後輩だったので、しっかりと初心者アピールしました(笑)。共演者の方々もみんな優しかったです。 ――その後の活動では、以前のように苦しくなってしまうことはありませんか? あるけど楽しいです。ステージに立っている時の楽しい感覚をずっと味わっていたいと思ったんですよね。つらいこととか苦しいことは誰しもあると思うので、その中で達成感や満足感を自分でどう見つけて味わうかということが大事なんだということに気付かされました。 ――今、もし人生を巻き戻してもう一度アイドルの道へ進むタイミングになったとしたら、またアイドルを選びますか? 選ぶと思います。福岡にいて芸能で活躍できるのって本当に狭い世界なんですよ。アイドルになるのはやっぱりいいチャンスだったと思います。だから、私も今こうやって活動ができているんだと思うし、あの時の自分にまたアイドルの選択肢をもらえるんだったら、またアイドルになると思います。地元にいながら、お父さんやお母さんにもステージを見てもらえるし、実家から通えたし。最高の環境だったと思います。 ■考えをポジティブに「つらい経験が自分を強くしてくれた」 ――では、2回目のアイドル人生では何を意識して活動していきますか? 私、うつの経験がなければ良かったとは全然思っていないんですよ。一回苦しんだ分、人より心の痛みが分かるし、遠回りした分、みんなにはできない経験ができたと思っていて、そこはすごくポジティブに考えているんです。だから、「戻ってそうならないようにしたい」というよりも、「結果、良かった」と今は思えているので、全てのことに意味があるんだと思います。人生、なるようになったなっていう。 それは今、こうやって立ち直れているからそうやって思うのかもしれないけど、休んだことで自分の考えをリセットして、頑張るスタートが切れたというところもあるんです。すごくつらかったけど、20代のうちにぎゅっと凝縮していろいろ味わったから、その経験が自分を強くしてくれました。「戻ってなかったことにしたい」と思ってしまったらつらいじゃないですか。だから、それを全部原動力に変えています。 ――つらいことばかり聞いて申し訳ないのですが、当時特につらかったのはどんなことでしたか? 期待に応えられなかったのがつらかったです。グループでセンターにしてもらったり前列に選んでいただいたりして、他のメンバーより優れている部分がないとそこにいてはいけないような気持ちになってしまったんですよね。「センターになってやったー」「前列でラッキー」と軽く考えられなかったんです。ファンの方はいつも励ましてくれるし、自分を褒めてくれるし、いつでも味方でいてくれて、存在が心の安定剤になっていたんですが、自信がなかったんでしょうね。 ■兒玉遥を支える「今が幸せ」 ――現在は、活動する上で何か目標にしていることはあるのでしょうか? 求められていることに応えることも大事だけど、「自分がどうなりたいか」ということの方が大事なのかなと考えるようになりました。自分がお芝居をやりたいからやるし、楽しいからタレント業やMC業もやるんです。そんな姿を見て、みんなも楽しんでるよね、という感覚ですね。 ――人前に出る職業である以上、良い声も悪い声も含め、行動にはネットなどを通じてさまざまな反響があると思います。今はどう対応していますか? 今は何を言われても気にならなくなりました。それはたぶん、今が幸せだからだと思います。「こういうふうに思う人がいるんだ」と受け入れるけど、全く落ち込まないです。他人からもらう意見で、幸せになったり苦しくなったりしない方がいいと思っているんです。他人からどう思われているかで自分の心を測るんではなくて、自分の中に持っておけばぶれないんですよね。 誰かに認められたり評価されることも大事だけど、その前に「自分は仕事を頑張れている」という自信だったり、「これは間違っていない」と思える仕事の向き合い方をしていれば、他人にどう言われていてもぶれない心が出来上がってくるんです。以前は何を言われるか怖くて話せませんでしたが、今は吹っ切れました。大丈夫です。 ■苦しい時には思いっきり苦しんでもいい ――最後に、現在人間関係やSNSなどで悩んでいる人に、兒玉さんから伝えたいメッセージは何かありますか? 今、私がこうして過去のことを発信しているのは、私自身が誰かが乗り越えた体験を聞くことがすごく好きだということもあるんです。つらかったり悲しかったりする時って、悲劇のヒロインになってしまうというか、視野が狭くなって、自分が一番つらい人のように感じてしまうんですけど、私よりつらい人生を歩んでいる方もたくさんいるし、いろいろな人に会って話を聞いて視野を広げてみると、自分の悩みがちっぽけに思えてくるんですよね。 それに、苦しい時には思いっきり苦しんでもいいと思います。生きてさえいれば、いいことがあります。そういう時はその感情を思いっきり味わって、そうしたらだんだんと飽きてくるんですよ。時間が解決してくれると思います。私の場合はそうでした。疲れたら休んでください。 ◆取材・文=山田健史