オーストラリア産ワインが再び中国市場で注目される
【東方新報】オーストラリア産ワインが中国市場に再びアクセスできるようになったことで、同国のワイン業界にとって大きな後押しとなり、成長や競争力を維持するためには強固な貿易関係を築くことが重要であることが改めて浮き彫りになった。 オーストラリア政府のワイン産業を促進・規制する機関であるワインオーストラリア(Wine Australia)が発表した報告書によると、2023年7月1日から2024年6月30日までの会計年度におけるオーストラリア産ワインの輸出総額は、22億オーストラリアドル(約2146億7600万円)に達し、前年同期比で17パーセント増加した。 この期間におけるオーストラリア産ワインの輸出増加は、2023年3月に中国がオーストラリア産ワインに対する関税を撤廃したことが大きな要因となっている。 2023年3月28日、中国商務部は、オーストラリア産ワインに対する反ダンピングおよび反補助金の措置を3月29日から終了すると発表した。 もともとこの関税は、2020年11月に中国商務部によって導入され、翌年3月に最終決定が下され、オーストラリア産ワインには116パーセントから218パーセントの反ダンピングおよび反補助金関税が5年間適用されることになっていた。 同時に、中国とオーストラリアは、これらの制裁関税を終了するために、世界貿易機関(WTO)の紛争解決機関に共同で通知を提出した。 これにより、4月から6月にかけてオーストラリア産ワインの中国市場への輸出が急増し、前会計年度においては、中国本土がオーストラリア産ワインの輸出先として金額ベースで第1位、量ベースで第4位となった。 具体的には、4月から6月の間に、中国本土には3100万リットル、3億8900万米ドル(約559億7710万円)相当のワインが輸出された。 これにより、オーストラリア産ワインの中国本土への輸出量は、前の会計年度の100万リットル(800万米ドル<約11億5120万円>相当)から、3300万リットル(4億米ドル<約575億6000万円>相当)へと大幅に増加した。 中国商務部国際貿易経済合作研究院の白明(Bai Ming)研究員は、「世界最大級のワイン消費市場への再参入が、オーストラリアのワイン生産者にとって、中国の消費者がもたらす大きな可能性を再び活用できるようにした」と述べた。 さらに、オーストラリアと中国の貿易関係が改善されたことは、オープンで協力的な貿易環境を築くことで得られる相互利益の重要性を改めて示していると言う。 ただし、専門家によると、中国への輸出が大幅に増加しているとはいえ、まだかつてのピーク時の水準には遠く及ばないとしている。 特に、ビジネス宴会や贈答用としてのワイン消費が減少したことにより、ワインの消費全体が大幅に減少し、市場全体が縮小していると、ワイン業界のアナリストである郭松泉(Guo Songquan)氏は述べている。 英酒類調査会社IWSR(International Wine and Spirit Research)の報告によれば、中国国内で生産されたワインの消費量は、2017年の9500万ケースから2023年には2700万ケースに減少し、輸入ワインの販売量も同じ6年間で6100万ケースから2000万ケース未満に減少した。 その結果、中国本土での国内産および輸入ワインの消費量は、6年前の水準の3分の1未満にまで減少している。 オーストラリア産ワインの中国市場再参入が、中国全体のワイン市場に大きな変化をもたらすことは期待されていない。 しかし、市場の規模が限られているため、オーストラリア産ワインのシェア拡大は、フランスやチリ産のワインなど、他の競合国のシェアを削る可能性があると郭氏は述べている。 その影響の程度は、オーストラリア産ワインブランドのマーケティング努力や、他国の対抗策によって決まるだろうと郭氏は付け加えている。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。