『生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った』東京ステーションギャラリーで 身近なものをモチーフに布と紙で創作した約150点を紹介
野菜や魚など身近なモノをモティーフとして、布と紙で美しく親しみやすい作品を生み出してきた宮脇綾子の生誕120年を記念する展覧会が、2025年1月25日(土)から3月16日(日)まで、東京駅舎内に所在する東京ステーションギャラリーで開催される。 【全ての画像】《ひなげし》ほか広報用画像(全15枚) 1905年に東京で生まれた宮脇綾子は、22歳で名古屋在住の洋画家・宮脇晴と結婚。40歳で迎えた終戦の年に、好きな仕事である縫い物を活かしたアプリケ制作を始め、「世の中に廃物などひとつもない」という信念のもとに創作を続けてきた。主婦として毎日目にしていたものをつぶさに観察し、ときに対象となる野菜や果実を割って断面をさらし、分解して構造を確かめるといった研究を重ねて生み出した作品は、造形的に優れているだけでなく、高いデザイン性と繊細な色彩感覚に支えられ、いのちの輝きを見事に表現するものとなっている。 今回の展覧会では、その宮脇の作品と資料が、造形的な特徴や素材の用い方に基づいて分類・構成されている。例えば、対象を徹底的に観察したがゆえに優れた写実性を有している作品群や、果実や野菜などの美しい断面を大胆に表した作品、あるいは魚や鶏などを裏や表など様々な角度から描いた作品など。また素材にこだわった宮脇は、貴重な古裂だけでなく、レースやプリント生地をはじめ、あらゆる素材に目を向けており、用いた布の様々な柄や模様の面白さをそのまま活かした作品や、同じモティーフの反復や異なるモティーフの羅列によって、大胆な造形性が目を引く作品も生み出してきた。 予想外の面白さをもった独自の作品世界を創出してきた宮脇はまた、自然を観察し、そこから本質的な形を汲み出して、それをある秩序に従って配置していくという点で、優れてデザイン的な作家でもある。その作品約150点が並ぶ同展は、従来はアプリケやコラージュ、手芸などに分類されてきた作品を美術史の言葉によって分析することで、造形作家としての宮脇綾子の芸術性に新たな光を当てる興味深い試みともなっている。 <開催概要> 『生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った』 会期:2025年1月25日(土)~3月16日(日) 会場:東京ステーションギャラリー