野村克也が語る「イチロー引退」
オールスターのマウンドは悪い意味で忘れられない
1995年、プロ野球コンベンションでの筆者[右]とイチロー/写真=BBM
この号の発売日は、ちょうどセンバツ高校野球決勝(予定)。残念ながら今年のセンバツはほとんど、家でゆっくり見ることができなかった。というのも、連日のように取材が入って、外に出かけているからだ。おかげさまで、というべきか。さほどマスコミ受けするようなことを話さないにもかかわらず、何かとお呼びがかかるのはありがたい。 さて前々号でイチローについて「最低50歳まで現役を続けるつもりらしい」と書いたら、そのイチローが引退してしまった。引退会見は、私もニュースで見ていた。彼らしい会見だったのではないか。 私は正直、イチローがあまり好きではない。野球界の後輩としては、かわいくないのだ。彼のちょっとしたしぐさや態度、言葉を見聞きしていると、「俺は人とは違う」アピールが見え見えに伝わってくる。確かに、野球においては天才だ。天才から、われわれ凡才に理解できるような話は出てこない。だから、話を聞いてもつまらないのだ。 あれはオリックスに入ったときの監督だった土井正三がしっかり教育しなかったためか、それとものちに仰木彬が甘やかしたためか。 とはいえ、もし私が監督をしているチームにイチローが来ても、放ったらかしだったに違いない。おそらく私が何を言っても、彼は聞く耳を持たなかっただろう。同じ天才型でも、新庄剛志(元阪神ほか)とはまったくタイプが違う。新庄はかわいいところがあった。失礼ながら、まさに・・・
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週刊ベースボール