セイキンが語る“現在のYouTube活動” ネットミーム化は「話題になっているうちが華」
YouTubeチャンネル「SeikinTV」の登録者数が460万人を突破(12月19日現在)するなど、時代を代表するYouTubeクリエイターの一人として知られるセイキン。「狙撃されるセイキン」など動画の切り抜きがネットミーム化するなど、クリエイターとして異質な魅力を持っている。 【写真】セイキンの撮り下ろしカット 今回は12月13日に開催された『YouTube Fanfest Japan 2023』の出演にあわせ、セイキンにインタビューを実施。弟・ヒカキンとのエピソードや、2018年に誕生した息子であるチビキンと動画を撮る際に気をつけていること、自身がネットミーム化していることについて、今後の展望などを聞いた。 ・息子の誕生により大きく変わった生活リズム ――2023年は、セイキンさんにとってどのような1年でしたか? セイキン:いつも思うんですけど、今年もあっという間でしたね。アップした動画の本数はそんなに多くないのですが、1本1本真剣に向き合ってきたので、たくさんの方に見ていただけて良かったです。 ――投稿本数を減らしたことに関して、なにか心境の変化があったのでしょうか。 セイキン:やっぱり、生活が変わったのが大きいですね。結婚して、子どもが生まれて、子育てに費やす時間が増えたので、家庭との両立を図るためです。どうしても、毎日投稿をしていた時代に比べたら本数は減ってしまっていると思います。ただ、すべての動画を大切にするというマインドは、初期のころから変わっていないです。 ――育児をしながら働くというのは、大変な部分が多いよね。 セイキン:そうですね。それこそ、昔は夜中であろうが撮影をしたり、編集をしたりしていましたが、いまはちゃんと朝起きて、子供の面倒を見てから仕事するという感じです。 日中は働いて、夜はちゃんと眠る。年齢も上がってきたので、健康にも気をつけなければいけないし。いまのリズムを作るのにかなり時間はかかりましたが、だいぶ固定できてきたと思います。 ――子育て関係で言えば、チビキン(息子)さんが出演している動画も、人気を集めていますよね。家族との動画や、ヒカキンさんとの兄弟での動画などでの立ち振る舞いのちがいで、意識されている点があったら教えていただきたいです。 セイキン:うーん、あまり意識はしていませんが、ヒカキンの方が話すのは得意なので、基本的に進行などを任せている部分があります。2人でのトーク中は、兄弟としての阿吽の呼吸があるんだと思っていて。意識をしているわけじゃないのに、押引がちゃんとできている。ヒカキンも、僕と撮るときは自由にやっていると思います。 一方で子どもとの撮影は、普段の生活と同じにすることを心がけています。「動画を回すからちゃんとしようね」というのはあまりないです。息子も、生まれたときからカメラが回っていることに慣れているので、抵抗もありませんね。 ――ある意味、YouTubeクリエイターの英才教育ですよね。もしも、お子さんが将来YouTubeクリエイターになりたいと言ったら、どうしますか? セイキン:本人がやりたいのなら、やっていいと思います。僕が「これをやりなさい」と言うことはないですね。いまはまだ小さいですけど、徐々にやりたいことが出てくると思うので、なにを伸ばしてやれるのか? というのは、いつも意識しています。 ――理想的な教育方針ですね!興味を持ちそうなものはありますか? セイキン:いまは、ゲームですかね。一緒にやることもあります。いまは、実況配信とかもすごいじゃないですか。昔は、「ゲームばっかりやって!」と怒る親が多かったと思うんですけど、いまはもうそういう時代じゃないですね。eスポーツも栄えているし、職業にもなり得る時代なので。 ・勝手にバズらせてくれてありがたい ――2019年ごろから、インターネット全体でセイキンさんの動画を加工してミーム化(=インターネットを介して動画や言葉が模倣され、広く拡散されていくこと)する動きがあります。それは、ご本人的にはどう感じているのでしょうか? セイキン:そうですね。もちろん常識の範囲でお願いしたいですけど、どんどん使っていただければ。いじってもらえるのはすごくありがたいことなので、面白おかしくしちゃってください! ――懐が深いですね……! セイキン:いやいや、話題になっているうちが華なんでね。自分でやるよりもバズってたりするし、むしろ狙わない方がいいんですかね。勝手にバズってくれてありがたいです。ヒカキンからも「なんか、勝手にバズってるけど」って連絡がきたりしますよ(笑)。 ――おふたりのバランスもすごくいいですよね。 セイキン:ヒカキンはずっとSNSをチェックしているので。僕は、教えてもらってあとから気付くタイプです(笑)。 ――ここ最近のYouTube界に関して、変化を感じる点はありますか? セイキン:ショート動画が流行っていることですかね。ぼくも、たまに挑戦しています。そんなに本数は撮っていませんが、新しい挑戦はすごく大事だと思うので。頑固に「やりません」と言うのではなく、新しいものはどんどん取り入れていきたいんです。 ――セイキンさんのショート動画といえば、しゃべらないスタイルのものが印象的です。 セイキン:喋らないスタイルを貫いているのは、海外の人にも楽しんでもらうためなんです。言語の壁があるとどうしても言いたいことが伝わらなかったりするので「いっそのこと、しゃべらないでやってみようか」と始めたのがきっかけで。それ以降は、ほとんど声を出していないですね。 ――今後はどのような動画を配信していきたいですか? セイキン:やっぱり、僕も時代に応じてすごく変化してきたと思います。いきなり系統を変えてしまうと視聴者の方を驚かせてしまうので、ずっとマイナーチェンジを繰り返しているんですよ。これからも、時代の変化を取り入れつつ、自分らしさを追求した動画を作っていけたらと思っています。 ――自分らしさというのは、素であることですか? セイキン:そうですね。なにも考えていないときの方が上手くいくので。 ――では、いつも基本的に台本などはなしで? セイキン:流れは考えて始めますが、台本はないですね。もちろん、タイアップの動画はある程度の流れは決まっていますが、ありのままを見せるのが大事だなと思っています。一番は、ファンのみなさんに楽しんでもらうことなので。 ――最後に、セイキンさんにとってYouTubeとはどういう存在かを教えてください。 セイキン:なんて答えるのがいいかなぁ。人生でもあり、生活でもあり。自然と自分のなかにあるものみたいな感覚ですね。収益が出ない時代からやっているので、仕事というより趣味という感じで。「お金を稼ぎたい」とか「有名になりたい」とかではなく、「楽しいからやる」。僕らの世代は、きっとこういう人が多いんじゃないかなと思います。
丹治健太、菜本かな