パッティングの距離感は振り幅より見た目に頼ったほうがいい! タイガーや馬場咲希がやってるタッチが良くなる方法【謎キャラコーチ『わきゅう』の気になる話♯61】
一昨年の全米女子アマを制し、23年12月のプロテストで合格した馬場咲希プロを、中学1年から指導しているのがプロコーチの坂詰和久(さかづめかずひさ)、通称『わきゅう』だ。坂詰コーチと20年以上の付き合いがあるベテラン編集者Oが、謎キャラコーチの気になる話を聞き出す。今回は「距離感の磨き方」がテーマだ。
坂詰 この前、トーナメント会場で大槻智春プロのキャディさんに会ったんです。そうしたら、「大槻プロが、馬場(咲希)プロはパットが上手いねって言ってましたよ」って。 O編 馬場プロ、いいパットを入れてたんだろうね。大槻プロは、どこで馬場プロを見たの? 坂詰 開幕直前に沖縄で行われた、HEIWA・PGMチャリティゴルフを同じ組で回ってたんです。ボクは、そのとき、馬場ちゃんのキャディをやっていたんですよ。 O編 なるほど。そのときのプレーがよかったんだね。 坂詰 でも、実はその直前まで、馬場ちゃん、パットの距離感があまりよくなかったんです。 O編 え? そうなの? 坂詰 はい。フィーリングが出ていないというか、狙った距離をイメージどおりに打っている感じがしなかったんですよね。 O編 で、それをどうやって修正したの? 坂詰 カップを見たら、素振りをしないで見た目どおりの距離を打つ、っていう練習をひたすらやりました。練習グリーンに、ボールをひとつ置いたら、狙うカップを決めて、素振りをせずに見た目どおりの距離を打つ。で、寄っても寄らなくても、また別のカップを狙って、素振りをしないで打つ。それをひたすら繰り返すんです。 O編 素振りをしないで打つ練習は、タイガー· ウッズもやってたよね。 坂詰 そうですね。素振りをせず、自分が見た距離と、実際に打つ距離を合わせるっていうんですかね。そういう練習をすると、タッチがよくなるんですよ。 O編 ボールをひとつしか打たないのがポイントなんでしょ? 同じ場所から何球も打てば、そのうち距離は合ってくるけど、それは、「ちょっと弱かったから、次は強めに打とう」とか、「ちょっと強かったから、弱めに打とう」っていう調整が入ってるもんね。 坂詰 そうですね。何球も打って、調整して寄せても、その距離感は本番では生きてきません。素振りをせず、見た目どおりに 打って繰り返すから、距離感が磨かれていくんです。 O編 馬場プロの距離感がよくなかった原因みたいなのはあったのか? 坂詰 話を聞いたら、振り幅で距離感を出していたみたいなんですよ。 O編 それは、練習グリーンなんかで、5mならこのくらいの振り幅、10mならこのくらいの振り幅ってチェックしておいて、それを基準に打っていたってこと? 坂詰 そういうことです。女子プロには、そういう距離感の出し方をする選手が結構多いんです。それに影響されたんじゃないですかね。 O編 そうやって教えるプロも多いからね。 坂詰 でも、男子プロには、そういう(振り幅で距離感を出す) 人はほとんどいないんですよ。それは馬場ちゃんもわかっていて、「男子にはいませんよね」って言ってました。 O編 振り幅で距離を打ち分けるのは本物の距離感じゃない、っていうプロも多いよね。 坂詰 ボクもそう思います。逆に、そういう方法で距離感を出そうとすると、フィーリングが失われちゃうと思うんですよ。 O編 確かに、振り幅で距離を打ち分けていると、大オーバーや大ショートはないかもしれないけれど、狙った距離を打ってる感じはしないだろうね。 坂詰 だって、ボールを投げるとき、5mなら手をここまで上げよう、10mならここまで上げよう、なんてことしないじゃないですか。振り幅で距離を打ち分けるっていうのは、それと同じですからね。 O編 ボールを投げるときは、相手や目標を見て、その見た目どおりに投げるもんね。 坂詰 そうやって見た目どおりに投げて距離が合うのが本物の距離感だと思うんですよ。 O編 だから、パッティングも見た目どおりに打つことが大切だってことだね。 坂詰 そういう訓練をして、初めて距離感が磨かれていくんじゃないでしょうか。 O編 そう考えると、パットの距離感に悩んでいる人は、そういう練習をたくさんやったほうがいいかもしれないね。 坂詰 絶対におすすめです。練習グリーンに行ったら、ボールひとつで、素振りをせず、あっちのカップ、こっちのカップって、ひたすら見た目どおりの距離を打つんです。上りも下りも、長い距離も短い距離も、とにかく勘に任せて打つ。そういう練習を続けていくことで距離感はアップしてくると思いますよ。 PHOTO/Tadashi Anezaki ※週刊ゴルフダイジェスト2024年4月23日号「ひょっこり わきゅう。第61回」より
週刊ゴルフダイジェスト
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