ディールメーカー、年初に活動回復を実感-シティのトップバンカー
(ブルームバーグ): 米銀シティグループのデービッド・リビングストン氏によると、同社の引き受け業務担当者やディールメーカーは今年、活動の回復を実感している。世界の企業経営者が金利上昇に適応したためだという。
M&A(企業の合併・買収)の「グリーンシュート(芽吹き)」が見え始めていると、リビングストン氏は語った。
同氏は昨年、ジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)がシティを大々的に見直した際に、最高顧客責任者(CCO)に任命された。
リビングストン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「今年の初めを見ると、特に債券資本市場は非常に忙しかった。企業の財務担当者たちは、金利の動向が少しはっきりした機会を捉えて、資金を調達し流動性を活用した」と語った。
世界中の中央銀行が金利を引き上げる中、多くの企業が様子見を決め込んでいたため、最近の数四半期はディールメーキングと資本市場活動が枯渇した。シティの2023年の投資銀行業務手数料総額は前年比11%減の27億1000万ドル(約4100億円)だった。
シティは最近、JPモルガン・チェース出身のビスワス・ラガバン氏を新たに設立したバンキング部門の責任者に迎えることで合意した。シティは投資銀行業務において、長くJPモルガンの後塵(こうじん)を拝してきた。
シティ、JPモルガンのラガバン氏採用-バンキング部門責任者に
ラガバン氏は「投資銀行業務、コーポレートバンキング業務、商業銀行業務を担当することになるが、このような質の高い人材を迎えることは、これらの分野全てにおける当行の野心を示すものだと考えている」とリビングストン氏は語った。
リビングストン氏は、経済が好調で株式市場のバリュエーションが上昇している米国に、活動拡大の最大の機会があるとみている。
一方、英国は労働生産性の回復が遅れていると指摘した。 ブルームバーグ・エコノミクスによると、英国の時間当たり労働生産性は、金融危機前のトレンドが維持されていた場合に比べ24%低い。英国が「成長を取り戻すためには、経済の構造改革のペースを高水準で維持する必要がある」とリビングストン氏は語った。