マ軍にイチローが起こす化学反応
“生きる教材”として周囲からみられることについて、イチローは「それは、自分のことだから言いづらいね。第三者に言って貰った方がいい。僕が自分でいうのはバカみたいじゃないですか」と多くを語らないが、イチローもマリナーズ入団時の若き日々には、ケングリフィー・Jrから多くの刺激や感銘を受け、ヤンキースではリベラやジーターといった超一流から多くの鼓吹を受けてきた。 時代は巡る。“孤高の人”とも呼ばれたことのがあるイチローがスペイン語のジョークにも笑って応え「明るいのはいいよね」と状況を受け入れている様子は、かつて、自分がスーパースターから受けてきた多くの啓示を、少しでも次世代に還元しようとしているようにもみえる。 マリナーズ時代の同僚で、再びチームメイトになったモーセはいう。「04年に初めてイチローに会った時から彼は少しも変わっていない。とっても尊敬している。本当にクールな男だ」。イチローより1ヶ月早く2年総額1600万ドルの契約を結び、年俸では確かにイチローを超えたが、それでも“尊敬の目線”は変わらない。 新天地ではイチローの一挙手一踏足に熱視線を送るのは、ファンやメディアだけではない。最も身近なチームメイトが誰よりイチローの加入に興奮し、その全ての動きに注目している。