「廊下で道を譲る優しさを持つ」 愛子さまが学習院卒業後「日本赤十字社」に就職した理由
昭憲皇太后、貞明皇后の下賜の「御歌」の教え
こうした教育の基礎は歴代皇后から下賜された「御歌」の中にある。学習院女子部の事実上の校歌は、昭憲皇太后(明治天皇の妃)の「金剛石・水は器」。勉学に励み、切磋琢磨しよき友と学べという内容で、入学式で歌われる。 貞明皇后(大正天皇の后)の「月の桂」は卒業式で歌われる「御歌」で、鍛錬すれば高根の花も、月にある桂の木にも手が届く、身の行いを正し、家も守り、国に尽くせといった教えが込められている。下賜された当時は、皇后・皇太后が頻繁に学習院に行啓しており、御前でこの御歌を当時の生徒たちが歌ったこともあったろう。 その唯一無二の経験と教えは、現代の学習院女子部にも特別な歴史と文化として伝わっている。卒業生はほぼ例外なく今でもこれらの御歌を口ずさむことができるし、知らず知らずのうちに心の支えになっている。女子中等科に入った早々、生徒たちはこれらの御歌の意味を学び、唄い方を練習する。それが自分自身の血となり肉となり大人の女性に育ててくれる。愛子さまも同じであったろう。初等科時代の愛子さまを知る卒業生が、ご立派との評価が高かった愛子さまの会見を見て「自分にも娘ができたら学習院女子に進学させたい」とも語っている。 先述した常磐会会報誌「ふかみどり」は5年に一度の刊行で、近年の号では三笠宮彬子さまが教鞭を執られる大学でのご様子を、高円宮承子さまは日本ユニセフ協会の嘱託職員として働く日々を綴られている。次号36号は来年2025(令和7)年の刊行予定だ。愛子さまには是非、日本赤十字社でのお仕事ぶりを率直にご寄稿されてほしいと願っている。 藤澤志穂子(フジサワ・シホコ) 昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。学習院大学法学部卒、早稲田大学大学院文学研究科演劇専攻修士課程中退。1992年産経新聞社入社、経済本部、米コロンビア・ビジネススクール客員研究員を経て2019年退社。著書に『出世と肩書』『釣りキチ三平の夢 矢口高雄外伝』『学習院女子と皇室』。 デイリー新潮編集部
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