THE ALFEE・高見沢さんの独断と偏見による「タカミーのベスト・ヒット・コミックス大賞2023」
●お年寄りの含蓄のある言葉は、未来を指し示す羅針盤
シュールなタイトルに惹かれて読み始めたコミックでしたが、内容は祖母と孫の心温まる関係を軸に、村で起こる様々な問題や事件をグランマの卓越した判断力と裁量で、大岡越前並みに解決してゆく痛快コミックでした。孫の亜子ちゃんの人生創世記とグランマの円熟期との丁々発止が面白いです。これからの人生をどのように立ち向かっていけばいいのか、目からウロコのグランマの言葉に、何度も頷いてしまいました。是非、日常に疲れた時に読んで欲しいコミックですね。 高齢化社会はこの国の未来でもありますが、お年寄りの含蓄のある言葉は、未来を指し示す羅針盤です。自分もこの4月で古希一歩前の前期高齢者になりますが、グランマのように無理せず背伸びせず、年齢と真摯に向き合って行こうと思いました。もしかしたら、長年のバンド活動こそが自分にとって一番のアンチエイジングなのかもしれませんね。あっ! このドラマの主題歌、THE ALFEEが担当しています。(ESSE2023年6月号より抜粋)
●前代未聞!令和の少年冒険SF漫画『サンダー3』
『サンダー3』池田祐輝/著 講談社刊(1)~(3) 主人公のぴょんたろうは、妹のふたばにやけに懐かれている中学生。ある日、ふたばが行方不明になってしまう。ぴょんたろうと2人の友人、通称「スモール3」で救出を試みるも、異世界に迷い込んでしまうことに…。
●その斬新さに驚き!令和を象徴するコミック
偶然、異次元に繋がるディスクで異世界へ侵入したぴょんたろう達3人の少年。異星人に拉致された妹のふたばを救うために奮闘します。しかしこのコミック、こんな手法があったのかと思うくらい斬新でした。何が斬新かというと、主要な内容は並行世界を描いていますが、主人公の世界は昭和のギャグ漫画風で、異世界は何と劇画風なのです。 それに異世界ではぴょんたろう達は原子レベルの違いか、スーパーマンのように強い。異星人に制圧された地球を救うためにどのように戦い、どうやって妹のふたばを奪還するのか、今後の展開が気になるところです。いち早く続きを読みたかったので、コラムの〆切りを一日延ばしていただいて3巻目が発売された日にこれを書いた次第。 昭和のヒーローが「シン仮面ライダー」として、現代の技術で見事によみがえったように、これこそ令和を象徴するコミックでしょう。THE ALFEEも昭和のバンド! 令和もこのまま生き続けたいものです。(ESSE2023年8月号より抜粋)
●フォークバンドが突然ハードロックに変身したかのような衝撃
今年はレベルが高く選ぶのは一苦労でしたが、僅差で『サンダー3』をNo1としました。決め手は、このコミックの斬新かつユニークな世界観と、作者の画力の素晴らしさ、主人公達が昭和のギャグ漫画風のタッチのまま、異世界の劇画タッチに侵入する面白さ。音楽で例えれば、フォークバンドが突然ハードロックに変身したかのような衝撃でした。あれ? これってTHE ALFEE?(笑)
高見沢俊彦