杉咲花×若葉竜也『アンメット』4話をレビュー。ミヤビはどちらの医者を選べばいいの
飲みものがつなぐたいせつな思い出
4話では三瓶が出勤途中のミヤビにホイップクリーム入りの飲みものを差し出すシーンが描かれた。2話で抹茶パウダーを大量にふりかけた飲みものを飲んでいた三瓶に、「ホイップクリームを入れるといいかもしれませんね」とミヤビが言葉をかけたからだろう。一方、かつてミヤビに思いを寄せていた綾野は、無意識に記憶がなくなる以前と同じように缶コーヒーを持ってきたミヤビに、なんとも言えない表情を見せる。人との大切な思い出は、常に劇的なものではなく、こんなふうにささやかな場所にこそ宿るのだと思わされる。 終盤、関東医大会長の西島(酒向芳)は大迫に向かい、ミヤビについて「万が一にも記憶が戻ってもらっちゃ困るよ」と言う。三瓶が調べたミヤビの脳には、記憶障害が残るような損傷は見当たらなかった。故意に記憶をなくさせる、あるいは戻させないなんてことが可能なのか。物語は不穏な方向に進んでいる。 Text_釣木文恵 Illustration_オカヤイヅミ Edit_Yukiko Arai