故ヨハン・クライフが名付けた《周辺》に追い詰められたシャビ
「なぜゴールできないのか? それは『周辺』の悪影響のせいだ。だからこのクラブはやっかいなのだ」
発言後、バルセロナは決勝に進出して、クラブ史上初の欧州王者に輝いた。栄冠の歴史とともに「周辺」は忘れられない言葉となったわけだ。
「周辺」は目に見えない。単なる思い込みで、現実には存在しないのかもしれない。だが、人の心にダメージを与えるには、疑心暗鬼や強迫観念だけで十分だ。
暗闇に鬼がいる。私の陰口が聞こえてくる。誰も信用できない。周りは敵だ……。
実際フロント内部にシャビに批判的な者はいたようだが、その声を疑心が増幅した可能性はある。
「周辺」に追い詰められたシャビは、自分の疑心にも蝕まれた、とも言えるのだ。
文:木村浩嗣
木村浩嗣