百条委、兵庫県の内部調査に協力した弁護士 県民に納得される「客観性はない」と認める
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、5日に開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)で、告発者の処分に向けた県の内部調査に協力した弁護士が証人として出頭した。弁護士は「(告発文書は)不利益取り扱いが禁止される外部通報ではない」とし、処分は正当だったとの見解を示した。一方で内部調査については、自身が県から依頼されている立場であることなどから、広く県民から納得されるような「客観性はない」と認めた。 【写真】斎藤知事が自身のインスタグラムに投稿した散髪後の自撮り 証言したのは、県からの法律相談に乗る特別弁護士を務めている藤原正広氏(兵庫県弁護士会)。百条委での証言などによると、県人事課が4月1日から、藤原氏に処分についての助言を求めるようになった。 告発文書を作成した県西播磨県民局長だった男性(60)は、同月4日に県の公益通報窓口に告発文書と同様の内容を通報。その後、人事課から「内部通報に関わらず、処分できるか」と相談があり、藤原氏は、文書に真実だと信じる相当な理由がなく、告発者の利益を守る対象ではないため、「処分は可能」という趣旨の回答をしたという。 真実相当性がないと判断したのは、「(告発文書が)居酒屋などで聞いた単なる噂話で作成された」ためだと説明。告発内容が噂話を基にしているかどうかは、人事課から提示された資料を基に判断したとし、斎藤氏へ聴き取りはしたものの、文書全般の記載内容の真偽について自ら調査したことはないとした。 斎藤氏はこれまで、内部調査について、藤原氏に相談していることを根拠に「第三者性が保たれており、客観性がある」と主張。男性の処分は問題ないとの認識を示している。 藤原氏は尋問で、調査について「(処分後に)裁判にも耐えられるだけの調査が行われたという意味で客観性がある」と強調した。一方で委員から、弁護士は依頼者である県の利益を最優先するため、「広く県民が納得するような客観性はないのではないか」と指摘されると、「客観性の意味の捉え方次第で、そういう意味で考えるのであれば客観性はないということになる」と述べた。