このペースでマ軍のイチロー3000本ビジネスは成立するのか?
昨年10月6日、マーリンズのデビッド・サムソン社長が、イチローとの再契約を発表。その時少なからず、3000本ビジネスを意識しているのではという声があったのを否定しなかった。 「イチローは、3000本のために試合に出ているわけではない。我々も同じだ。彼が記録を達成したら、祝福セレモニーをするかって? もちろんだ」 だが、それが目的とレッテルを張られることを嫌ったか、すぐさま言葉を足している。 「でもそれはナ・リーグでディー・ゴードンが、ジャッキー・ロビンソン以来、首位打者と盗塁王を同時に獲ったことを祝うのと同じ程度だ」 いやいや、そんなはずはない。前者が本音だろう。大リーグにビジネスの一面がある以上、マーリンズはイチローとの再契約の裏で算盤を弾いたはずである。3000本安打が迫れば、あの手この手で利用し、プロモーションを仕掛け、集客を目論むーー。 ただ、3000本安打そのものは、何もしなくてもファンを呼べる手のかからないイベントとしても知られる。1999年8月7日、ウェイド・ボッグス(当時レイズ)が本塁打でメジャー通算3000本安打を達成したが、この時の例が分かりやすい。 当時も今も不入りが続くレイズはあの年、7月30日から遠征に出た。その直前の本拠地3連戦の観客数は初日から順に15,596人、15,703人、18,336 人といつもの人出だった。そのシリーズ初戦の時点で3000本安打まであと11本。3試合では無理とファンも考えたか。 その後、オークランド、シアトルの遠征で5安打を放ち、残り3本でホームに戻ってくると、状況が一変する。タンパに戻っての初戦、8月6日は、34,623人という通常の倍以上の観客数を記録したのだ。言わずもがな、3000本安打のおかげである。対戦相手だったインディアンズ目当て、ということも考えにくい。 ボッグスは初戦、4打数ノーヒットに終わったが、プレイオフ出場の望みなどとうの昔に消えてしまい、優勝争いの集客も期待できないチームにとっては、むしろ願ったり叶ったりか。長引けば長引くほど、連日のように球場が満員になる。 果たして翌7日、前日を上回る39,512人ものファンの前でボッグスは3安打を記録して、3000本安打に到達してしまうわけだが、その翌日も33,052人という集客があった。この日に打つだろうと予想して、チケットをあらかじめ買っておいたファンが少なくなかったか。 いずれにしても3日間合わせて10万人以上の観客数を記録。次のシリーズからはまた1万人台のファンしか入らず、冷めるのも早かったものの、敵地で打たれるよりはるかに良かったのではないか。 マーリンズにしても、イチローが遠征中に打ってしまえば思惑が外れてしまうわけだが、実のところイチローがマイアミで打つとしても、客席が埋め尽くされるだろうかと疑う人もいる。あるマイアミの地元記者は言った。