江戸の奇才・平賀源内が早速登場… 吉原との関係に胸が締め付けられたワケ。 NHK大河ドラマ『べらぼう』第2話考察レビュー
横浜流星主演の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合)が現在放送中。貸本屋からはじまり「江戸のメディア王」にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く。今回は、第2話の物語を振り返るレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】横浜流星に思わず見惚れる…豪華キャストの貴重な未公開写真はこちら。大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』劇中カット一覧
吉原に客を呼び込む妙案とは?
「お前は何かしているのか、客を呼ぶ工夫を」 田沼意次(渡辺謙)の言葉で目の覚めるような思いがした“蔦重”こと、蔦屋重三郎(横浜流星)。『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第2回では、「吉原細見」で吉原に客を呼び寄せる案を思いついた蔦重が奔走する。 「吉原細見」とは、年2回発行されていた。いわば吉原のガイドブック。といっても、もともとは吉原の地図と引手茶屋、女郎屋、そこに所属している女郎の名前が載っている簡素なものだった。 今まで通りの内容だったら、人は呼び込めない。そこで、蔦重が目をつけたのは序文=まえがきの部分。誰もが思わず吉原に足を運びたくなるような序文を書いてもらおうと、蔦重はある人を探そうとする。 ある人とは、江戸の奇才・平賀源内だ。本草学者、医者、地質学者、蘭学者、発明家、画家、劇作家など、その肩書きを挙げると枚挙にいとまがない。どの顔にフォーカスするかは作品ごとに違っているが、本作の場合はコピーライターとしての顔。 1769年、源内は人に頼まれて歯磨き粉「漱石膏」の引札=チラシを書いたのだが、その宣伝文がすごかった。大雑把に訳すと「金に困って出したから、効くかどうかわかんない。でも、どうか、ひとつ助けると思って買ってちょうだい!」という、あけすけで全く売る気のなさそうな文章。だけど、粋で人情に厚い江戸っ子に刺さりそうなポイントをしっかりと押さえており、歯磨き粉は大流行となった。
平賀源内の正体は?
瞬く間に源内は有名人となり、商売人たちがこぞって宣伝文を書いてもらおうと彼を探している状態。蔦重も色んな人に源内の居場所を聞いて回るが、一向に見つけられない。 そんな中、「源内は田沼のところに出入りしているらしい」という噂を聞いた蔦重は、以前、吉原の窮状を田沼に訴えてみてはどうかとアドバイスしてくれた炭売りの男(安田顕)のもとを訪ねるのだった。 源内に引き合わせてくれるというので、貧家銭内と名乗るその男と、弟子らしき小田新之助(井之脇海)を老舗女郎屋「松葉屋」へと案内した蔦重。そこで男の正体が平賀源内であることを知るや否や蔦重は序文を書いてもらおうと必死で吉原のセールスポイントを挙げるが、どれも源内には刺さらない。 その最大の理由は、源内が男色家だからだ。吉原には3000人の女郎がいて、どんな人でも好みの女が見つかるとはいえ、そもそも女が好きでなければ意味がない。万策尽きた…と思ったその時、花の井(小芝風花)が男装姿で現れる。 花の井は単に、源内が男色家だから男の格好をしたわけではない。源内が松葉屋の主人たちに「瀬川」を所望するのを聞いていたのだ。「瀬川」とは、吉原で代々名妓に引き継がれる名跡。しかし、四代目以降、とある理由によってその名は途絶えていた。 そんな「瀬川」を源内が所望した行動の裏には、二代目・瀬川菊之丞(花柳寿楽)への思いがある。菊之丞は女形の歌舞伎役者で、源内とは“いい仲”だったことは有名な話。だが、彼は33歳の若さでこの世を去っていた。