投資家としてのジェフ・ベゾス、近年は「AIロボティクス」に重点
「次のフロンティア」を見据えた投資
■「次のフロンティア」を見据えた投資 ベゾスがロボティクスに取り組むのは真新しいことではない。2007年に彼は、製造業の自動化を支援するスタートアップのRethink Robotics(リシンク・ロボティクス)に初期投資を行ったほか、アマゾンのCEOとして在任中だった2012年と2019年には、それぞれKiva Systems(キバシステムズ)とCanvas Technology(カンバステクノロジー)を買収していた。しかし、彼が1年間でこれほど多くのロボティクス企業に投資したのは初めてのことだ。人間の手を借りずに動作する自律型ロボットは、これまで無かった新たな分野だ。 ベゾスが投資した4つのAIロボティクス企業のうちの、Figure AIとPhysical Intelligence(フィジカル・インテリジェンス)はコメントを拒否したが、スイス・マイルのビエロニックとSkild AI(スキルドAI)共同創業者でCEOのディーパク・パサックは、この分野のブレイクスルーを確信していると語った。「汎用人工知能(AGI)に対する関心が高まる中で、ロボティクスはAGIに近づくための道筋だ。これがAIの次の大きなフロンティアだ」とパサックは語った。 一方、ビエロニックは、この分野のイノベーションをiPhoneの登場になぞらえて、AIの進歩とハードウェアのコスト低下によって自律型ロボットが実現したと述べている。 また、実用的な観点では、ロボットは無数のビジネス用途を持っており、鉱山における採掘のような危険な仕事を担う可能性があるが、病院や倉庫などの現場で人間とともに働くことが期待されている。ビエロニックは、スイス・マイルの取り組みが現状のアマゾンの主力事業における配送に限定されるものになるとベゾスと話したと述べているが、この判断は、アマゾンが書籍販売に焦点を絞った初期の決定に似ていると彼は語った。 ロボティクス以外では、ベゾスは昨年、物議を醸すAI検索エンジンのPerplexity(パープレキシティ)や、エヌビディアの競合になることを目指すチップ設計企業のTenstorrent(テンストレント)に出資した。さらにフィンテック企業のOutgo(アウトゴー)や介護関連企業のMagnolia(マグノリア)にも投資を行った。