PK shampoo企画『オルタナティヴサミット』 山田亮一とアフターソウルとの初対バンをレポート
PK shampooによる企画『新代田オルタナティヴサミット』が12月12日、新代田FEVERで開催された。初めての開催となるこの『オルタナティヴサミット』(ライブ中にヤマトパンクスは「定期開催していきましょうよ」と「宣言」していた)は「オルタナティヴの頂点を決める」(ヤマト)というコンセプトの対バンイベント。その初めてのゲストとして呼ばれたのは山田亮一とアフターソウル。その名の通りオルタナティヴで、でも心のど真ん中を震わせるロックソング満載となったこのイベントの模様をレポートする。 【全ての写真】PK shampoo、山田亮一とアフターソウルが出演した『新代田オルタナティヴサミット』(全23枚) 先攻は山田亮一とアフターソウル。元ハヌマーン、現バズマザーズ、サニアラズの山田亮一が今年新たに結成したバンドだ。本来は8月に大阪で開催されたPK shampoo主催の『PSYCHIC FES 2024』で初ステージを踏むはずだったが、山田が大麻の不法所持疑いで逮捕されたことを受け出演キャンセルに。出所後の8月30日にTHE NEATBEATSとのツーマンライブで復帰し、今回ようやくPKとの対バンが実現した。 フィードバックノイズがけたたましく鳴り響き、幕を開けた山田亮一とアフターソウルのステージ。山田が「アフターソウル、いきます!」と言って1曲目「最低のふたり」を歌い始める。とたんにあたたかな温度をもったロックンロールが転がり出した。続いてハヌマーンの楽曲「リボルバー」が繰り出され、さらに「アフターソウルにかまってちょうだい」という言葉とともにこちらもハヌマーン時代の楽曲「ネイキッド チャイニーズガール」へ。山田とギターの田中耕平、ベースのジャパ・ザ・グルーヴィが軽やかにサイドステップを踏む。ダイナミックなリズムに手拍子が起き、フロアからも歌声が上がる。そして「本日の夢先案内人はこの人」という紹介とともにジャパ・ザ・グルーヴィのベースが鳴り響き、水野絢太のドラムからソリッドでスリリングなロックンロール「夕凪」へ。山田と田中のツインギターフレーズも炸裂したこの曲を歌い終えると、山田は深々と一礼した。 その後も畳み掛けるようにステージは展開していった。「楽しい歌謡曲を歌います」と新曲(これがアッパーな上にキャッチーでいい曲だった!)を披露すると、イントロのギターが鳴った瞬間に歓声が湧き起こった「ワンナイト・アルカホリック」がさらにフロアを盛り上げ、かと思えば一転、「アバンチュール」では妖しげで切ないムードを漂わせる。「僕とみなさんの共通項は音楽が好きだってことやと思う。でもいちばんの違いは、僕はライブは好きで、ライブハウスは嫌いなんです」。「アバンチュール」を終えた山田がそう話し出した。そしてライブハウスが苦手なのに今日の2組を観るために這うようにしてここにやってきた「少数派」を讃えると、自分もかつて同じような思いをしたことがあった、と続けた。 「病んでいて外に出られないときに頑張ってポケモンセンターに行ったことがありました。そのときの歌を歌います」。繊細なアルペジオと優しいビートがフロアを心地よく揺らし、ライブは一気に終盤に入っていく。「一緒に熱くなってくれる?」と水野の力強いカウントとともに始まっていったのはハヌマーンの大名曲「若者のすべて」。荒々しくがなり上げるような山田の声に合わせて、FEVERに大絶叫が巻き起こる。一瞬にして何かを呼び起こされるようなこの感覚は、この曲に封じ込められた思いが今なお死んでいないことの表れだ。 と、ここでバスドラが破けるというまさかのハプニング。「(直すのに)どれくらいかかります?」と聞いた山田が間を繋ぐようにギターをかき鳴らして歌い出す。「アナーキー・イン・ザ・1K」だ。予想外の1曲にフロアでも歌う人が続出。期せずして訪れたクライマックスが美しい光景を描き出した。そして最後に「ハイカラさんが通る」を披露すると、「ありがとうございました!」と去っていった山田とバンドメンバー。ぎゅっと締まった演奏と曲そのもののエネルギーが相乗効果でどんどん高まっていくような、最高のライブだった。