「最年少候補は泉健太代表」に現実味…自民党が窮地でも、「立民代表選」が一向に盛り上がらない決定的な理由
立憲民主党の“密室政治”
野党時代と与党時代という違いはあるとはいえ、共に宏池会を率いていた谷垣氏と岸田首相が総裁選で再選を果たせなかったという根幹部分は非常に似ている。 自民党総裁選が早くも盛り上がっているのに対し、立民の代表戦は話題性に乏しい。伊藤氏は「“だめだこりゃ”が率直な感想です」と、いかりや長介氏の名台詞を引用する。 「自民党は一応、複数の派閥が解散したことになっています。実際は今も水面下で“派閥の論理”が幅を利かせているのですが、立候補を巡る自由な発言を見ると、あたかも派閥の枠組みが消滅したかのような印象も受けます。自民党が『少しは変わったかもしれない』と感じさせる“演出”を行っているのに対し、立民はあまりに旧態依然としています。枝野さんは出馬にあたり、党内最大勢力のサンクチュアリに挨拶をしました。サンクチュアリは旧社会党系が中心の議員グループです。また、小沢一郎さんは人事を巡る私怨で“泉おろし”に動き、先日は野田さんと会合を持ちました。いずれも有権者の目が届かない場所での動きで、これでは自民党がかつて批判された“密室政治”そのものです。今の立民は昭和の自民党より自民党らしい組織になっているのかもしれません」
旧社会党の悪弊
立憲民主党でも「昔の名前」ではない小川氏や重徳氏の出馬も取り沙汰されている。とは言え、自民党の面々より知名度が落ちるのは事実だ。 立憲民主党の“若手のホープ”に光が当たっていないことに、一部の立民議員は「マスコミが自民党の動向しか報じないからだ」と憤る。伊藤氏は「それは半分だけなら当たっています」と言う。 「しかし残りの半分は、やはり立民に原因があると思います。私が事務局長を勤めていた当時の太陽党や民主党で、スタッフは議員をマスコミに取り上げてもらおうと様々な努力を重ねていました。一方、私が全国紙やNHK、民放キー局の政治部記者と話をしていると、彼らは立民のマスコミ対応に強い不満を持っています。これでは立民の若手議員にスポットライトが当たるはずがないと言わざるを得ません」 政治とカネを巡る問題で、自民党は説明責任を果たしていないし、国民が納得する再発防止策も打ち出せていない。 だが、自民党の総裁選と立憲民主党の代表選を比較すると、与党と野党の差はあまりにも大きい。自民党も裏金事件で信頼を回復できていないため、「自民も立民も嫌だ」という政治不信だけが加速することになる──。 「結局、立憲民主党とは、小池百合子さんの“排除の論理”で追い出された残党中心の集まりであることもあって、あちらこちらに旧社会党の悪弊が残っています。かつて社会党は野党第一党であることを最優先とし、政権奪取を目指さず、55年体制の枠内で安閑と政治活動を行ってきました。今の立民も非常に似ており、だからこそ代表選に注目が集まらないのです。多くの有権者から『立民は批判だけ』という批判が出る原因もそこにあります。立民がしっかりとした政策と国家ビジョンをまとめ上げ、自分たちの手でスター議員を育て上げなければ、政党支持率を回復させることなど夢のまた夢でしょう」(同・伊藤氏) デイリー新潮編集部
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