悪役転生した主人公が、娘と共に滅びる運命に抗うダークファンタジーに「悪いオジサマ大好物」「えげつない展開!好きだぜ!」の声【作者インタビュー】
コミックの映像化やドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。 今回は、BL小説・漫画レーベル「&arche(アンダルシュ)」にて連載中の、前世の記憶を取り戻した悪の宰相アンドリムが、娘と共に滅びる運命を避けるために、乙女ゲームの世界で策略を巡らし運命に抗うダークファンタジー『毒を喰らわば皿まで』をピックアップ。 【漫画】前世の記憶を取り戻した宰相がゲームの運命を覆す「必要のない事まで喋っちゃうんじゃないかとハラハラした」の声 この記事では、原作者の十河さんと、漫画家の戸帳さわさんにインタビューを行い、『毒を喰らわば皿まで』の創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。 ■婚約破棄から始まるダークファンタジー 物語は、ジュリエッタ・オーシェイン・アスバルとの婚約破棄を公然の場で宣告されることから始まる。その瞬間、宰相アンドリム・ユクト・アスバルはすべてを思い出した。この世界が前世でやり込んだ乙女ゲーム「竜と生贄の巫女」の世界であることを。 主人公は、ナーシャ・ラトゥリを新たな婚約者とし、ジュリエッタに空座となる“贄巫女”の役目を告げる。前世で日本人だったアンドリムは、ゲームの世界に転生――しかも、悪役貴族として。 ジュリエッタは悪役令嬢としてヒロインであるナーシャに厳しくあたるが、その背景には幼い頃から続く孤独と、積み重ねてきた努力があった。しかしそれは、一瞬で否定されてしまう。 「竜と生贄の巫女」の物語は、二部構成で進行する。今は第一部のラスト――ヒロインたちがジュリエッタと明確に敵対する場面だ。もしゲーム通りに進めば、アンドリムは断頭台、ジュリエッタは竜に呑まれる運命にある。 だが、アンドリムはそんな結末を辿るつもりはない。この物語の結末を変えるため、逆襲の準備を始めることに決めた。ジュリエッタが本当に罪深い悪役令嬢なのか? アンドリムは彼女の父親として、その真実に向き合おうとするがーー。 物語を読んだ人たちからは「悪いオジサマ大好物」「正義面してるけど、普通に王太子が恋愛脳の屑すぎる」「パパ必要のない事まで喋っちゃうんじゃないかとハラハラした」「はぁ~アンドリム美しい…好き!!!」「魅力的かつ悪い表情がたまりません!」「えげつない展開!好きだぜ!」など、反響の声が寄せられている。 ■悪役主人公を描く理由とは?創作のきっかけを語る ――『毒を喰らわば皿まで』の創作のきっかけや、着想を得たエピソードを教えてください。 十河:もともと、悪役令嬢転生のジャンルが大好きなんです。しかし前世の記憶を取り戻した主人公は、だいたい破滅を避ける為に『いい人』に軌道修正してしまうことが多くて……。 善人になろうと奮闘するのではなく、逆に、より一層極悪な存在となって世界の盤面をひっくり返す、そんな主人公の話を読んでみたい! 無いなら自分で書けば良い……! という、オタク特有の自給自足本能がきっかけです。 ――キャラクターはどのように構築されましたか?ビジュアルや性格、バックストーリーを作る際に意識したことなど、具体的に教えていただけますか。 十河:アンドリムに特殊な能力を「持たせない」と決めていた以上、武器の一つである外見はとにかく整ったものにしたいと考えました。白銀の髪と翡翠の瞳は昔から好きな組み合わせで、主人公の一族に受け継がれる呪いの証という役割を担ってもらっています。 また舞台となった世界の中で、知識以外の前世の性格などが邪魔をしないよう、頭が良く狡猾な性質を持たせました。ヨルガは騎士団長としての生真面目で誠実そうな雰囲気を大事にしています。髪や瞳の色、携える剣などには後々に謎を絡めて行きたかったので、伏線を用意して世界観を深める要素になってもらいました。 戸帳:キャラクターデザイン的なことでいうと、原作小説の装画を手掛ける斎賀時人先生のイラストから、漫画にした時に作画しやすいよう衣装を少し変更しています。 モリノやウィクルムなどのキャラは、もとのキャラクターデザインがなかったので小説の内容をもとにイメージを膨らませました。 ――キャラクターの台詞やエピソードを考えるときなどにこだわりがあれば教えてください。 十河:アンドリムは言葉の一つ一つが武器であるため、彼が台詞を口にする時の仕草や視線が読み手様に如実に伝わるよう、表現に気を付けています。ヨルガはアンドリムといがみあっていた時期と、翻って溺愛になってからとの行動差を、やや行き過ぎなのでは……? と思えるほどにつけるようにしました。またどのキャラクターにもバックグラウンドとなる過去があり、それが物語の中で少しずつ絡み合う様を大事にしています。 ―― 作画の際にこだわっている点や「ここを見てほしい」というポイントがあれば教えて下さい。 戸帳:主人公アンドリムが、自分を罠に嵌めようとしたキャラクター達を逆に欺き陥れていくのですが、その時の表情にこだわっています。 いろんなアンドリムの悪い顔を見てほしいです! ―― 本作の中で特に思い入れのある(気に入っている)シーンやセリフを教えて下さい。 十河:『選択とはな。呪いだ』という、アンドリムがサーカスに赴く前にマラキアを諭す場面の言葉。そして『さぁ、選べ』というアンドリムの台詞は、シリーズの中に共通して存在する『選択』というテーマを示すものです。 戸帳:1話のラスト3ページです。 主要キャラが集合して、これからアンドリムの術中にはまっていく…という始まりが原作小説ですごくわくわくしたのですが、うまく作画で表現できたかなと思っています。ラストページを操り人形にするのは担当さんが案を出してくださって、すごく気に入っています! ――一から世界観を創り上げ物語を展開していくうえでこだわっている点や特に意識している点を教えて下さい。 十河:没入感の強い世界に読み手様が思う存分に浸っていただけるよう、沼に向かって無言でそっと背中を押すような、そんな物語を綴れたら最高だと思っています。『寝不足になった』『明日仕事なのに、こんな時間まで読んでしまった』と言ってもらえることに、何よりも喜びを感じるタイプです。 戸帳:キャラの作画はもちろんですが、作品全体の空気感も意識しています。 「毒を喰らわば皿まで」はダークで耽美な空気感なので、そこから逸れないよう注意しています。 ――最後に、作品を楽しみにしている読者やこれから読む方々へ向けたメッセージをお願いします! 十河:善良なタイプではない悪役が主人公ということもあり、物語を書き始めた時には、こんなにたくさんの方にアンドリムを愛してもらえるようになるとは、夢にも思っていませんでした。 ここまで『毒を喰らわば皿まで』の世界が広がっていけたのは、ひとえに『面白かったです』『また読みたいです』と支えてくださった読者様達と、癖のある私の文章に根気強く向き合って下さる担当編集様、キャラクターに命を吹き込んでくれた斎賀先生と戸帳先生のおかげだと、いつも感謝の念を抱いております。 みなさまの睡眠時間を奪う作品をお届けできるよう、これからも努力していきたいです。ありがとうございました。 戸帳: 『毒を喰らわば皿まで』を読んでくださっている読者の皆様、ありがとうございます! 原作ファンの方にも、コミカライズから読んでくださっている方にも楽しんでいただけるよう頑張ります! アンドリムとヨルガの行く末を見守っていただけると幸いです。