地域再生担い手に 新検定で団塊世代の地域デビュー後押し
高齢者のための見守り支援サービスを提供しているNPO法人いきいきつながる会(大阪市西区、石川知巳理事長)が、現在60代半ばを生きる団塊世代の「地域デビュー」を後押しする新たな検定制度を開発し、4月に初めての検定試験を実施する。元気なシニア世代が地域貢献の手法を学び、現役時代に蓄積したノウハウを生かして、地域再生の担い手を目指す。
シニア世代の貴重な体験を地域再生に生かす
この新検定制度は「地域リーダー・インストラクター検定」。少子高齢化が進行する中、町内会の消滅や民生委員のなり手不足など、地域で培われてきた伝統的で健全な自治機能の低下が現実味を帯びつつある。 そこで、地域の行政に依存するのではなく地域が抱える課題を学習し、自らの経験を生かして仲間を集め自分たちの手で地域おこしができる専門家を育成するために、いきいきつながる会が検定制度を創設。財団法人職業技能振興会の新たな認定資格に認定された。 すでに「地域リーダー・インストラクター検定(初級)公式テキスト」(新風書房)が出版され、第1回検定試験日が4月24日に決定。現在、受験者を募集している。 主な受験者層に想定されるのが、団塊の世代などのシニア世代。団塊世代は現在、60代半ばを迎えているが、いきいきつながる会の石川知巳理事長は「60代の中には、30代、40代の方よりお元気ではないかと思えるほど行動的で、心身ともに若々しい方がいらっしゃいます。戦後の激動期を乗り切り、社会の発展を支えてきた自負や誇りがあるからかもしれません。貴重な体験を地域再生に生かしていただきたい」と話す。
地域のリーダーを育てるリーダーたれ
シニア世代は長年の仕事や生活体験に基づくノウハウがある。半面、ビジネス実績をそのまま持ち込もうとしても地域貢献につながりにくい。仕事最優先のあまり、地域の実情に疎いというケースも。 結果的に勇んで地域活動に参加しても、既存の組織や活動になじめず、地域再生の意欲が衰えてしまいかねない。シニア世代にとって「地域デビュー」は、必ずしもたやすくはない。 「発想を少し切り替えるため、地域貢献のための手法を学んでいただく。地域の実情を把握したうえで、仲間を集めて地域再生に取り組む組織を作り、活動を継続しながら、次の活動の担い手も鍛えていく。自身がリーダー役を演じる他、リーダーを育てるリーダーを目指していただきたい」(石川理事長) リーダーを育てるリーダーたれという大きな使命は、挑戦のしがいがあるのではないか。
地域貢献をテーマにNPO設立や起業の期待も
個人単独の力技で地域を変えるというよりも、個々人をネットワークで結び、地域を包み込んで問題を解決していくという発想だ。 「自分たちが暮らすまちを、できる限り自分たちで切り盛りしていくという意識を持つことが何よりも大切。地域で勉強会を開くなど、互いに啓発しあってほしい」(石川理事長) 活動が軌道に乗れば、単なるボランティア活動にとどまらず、地域貢献をテーマとするNPO法人設立や起業も期待される。超高齢社会は新たなシニア黄金期を生み出すかもしれない。詳しくはNPO法人いきいきつながる会や財団法人職業技能振興会の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)