“カメ”より遅い?400メートル無電柱化に約7年…それでも2040年代に都道の電柱ゼロへ
電柱を撤去する前に、電線を埋設
小池東京都知事の目玉政策の1つ、東京から電柱をなくすという無電柱化。 一期目からスタートしたこの政策は現在どうなっているのか?現場を取材してみた。 【画像】東京都の無電柱化に向けた夜間工事の現場を見る 普段は見られない地中の様子 10月17日午後9時ごろ。場所は、杉並区のJR荻窪駅から車で5分ほどのところにある都道。工事は交通量が減少する午後8時以降に行われていた。 道路脇の自転車専用レーンのあたりに幅1メートル弱、深さ2メートルほどの溝がショベルカーを使って掘られている。 電柱を撤去する前に、電線を埋設する作業が行われる。 作業員が、電線を通す管を重機で作った溝に敷設を始めた。 電線の地下化作業が終了すると、電柱の撤去が行われる。 撤去作業は見ることはできなかったが、まるで指に刺さったトゲを抜くように、電柱を地中から引っこ抜くという。 この作業、大変手間と時間がかかる。 平均して400メートルを無電柱化するのに7年かかるといわれている。 22年度末現在で、電柱は都道に5万3300本、区市町村道に63万3700本ある。 東京都は整備対象にしている都道2328キロにおいて、2040年代までにゼロにする目標だ。 東京都は、道路の拡幅工事の際にも同時に無電柱化を進めており、複数個所を同時に工事することで、無電柱化のスピードをあげようとしている。 また、区市町村の道路についても、都は財政支援や技術支援を行い無電柱化を促進している。 区部においてはセンターコアエリアと呼ばれる首都高中央環状線の内側にある整備対象の都道が概ね無電柱化されたので、現在、重点的整備エリアを環状7号線の内側に拡大していて、2024年度末までに完了する予定だ。
「富士山がよく見えるようになった」都庁に寄せられる喜びの声
無電柱化の目的は、地震時に電柱が倒れて道路を寸断するなどを防ぐ「防災対策」の一面と、「景観の向上」という面がある。 実際、都民からは「富士山がよく見えるようになった」など、電線がなくなったことで景観がよくなったという声が都庁に寄せられているそうだ。 他にも、街路樹を移植して緑が増えたり、歩道内で邪魔だった電柱がなくなり、車いすやベビーカーが通行しやすくなるといった効果も出ているという。 ところで、「11月10日」=「無電柱の日」ということをご存じだろうか。1を電柱とみたて、電柱を「ゼロ」にしようという意味だそうだ。 無電柱化されていない都道は、まだ約1100キロほどある。 作業は第一次緊急輸送道路に位置づけられている災害時の避難や救急活動物資輸送を担い、行政機関や災害拠点病院・港湾・空港などを連絡する道路から進められている。
大塚隆広