「旧ソ連の戦車」がロシア兵に襲いかかる日は来るか…韓国が「旧ソ兵器」を大量に保有する深い理由
ウクライナにはメリットだらけ
韓国がK-1やK-2をウクライナに供与するのであれば、ウクライナの戦車兵を呼んで国内で訓練させる必要がある。ところがT-62、T-72、T-80ならウクライナに運ぶだけでいい。 「K-1やK-2を供与した場合は、メンテナンスに必要な整備兵や部品もウクライナに運ぶ必要もあります。ところが旧ソ連の兵器であれば、ウクライナだけでなくポーランドなどにも交換部品などが準備されています。韓国は戦車を渡すだけでよく、後の心配は何もないので、これもメリットだと言えるでしょう。いずれにしてもウクライナ軍にとって韓国が保有する旧ソ連製の戦車は、まさに喉から手が出るほど欲しいものだと言えます」(同・軍事ジャーナリスト) 陸上自衛隊の定義では、戦車が4両で1個小隊、12両で1個中隊となる。つまり韓国からT-80を送ると、3個中隊が誕生するというわけだ。 もし実現すれば、非常に皮肉なことになるだろう。ロシアが借金のカタとして韓国に渡した戦車が、巡り巡って自分たちの攻撃に使われるかもしれないのだ。 さらに北朝鮮は兵士をロシアに派遣しており、ウクライナ侵略戦争の最前線に送られる可能性も取り沙汰されている。ひょっとすると、“韓国が送った旧ソ連製の戦車”と北朝鮮軍が対峙することも考えられる。
尹大統領は「柔軟な検討」
「韓国は今のところ、ウクライナへの武器支援に慎重な姿勢を示しています。かつて『アメリカがウクライナに155ミリ砲弾を送り、その穴埋め分として韓国がアメリカに155ミリ砲弾を送る』という報道が行われましたが、少なくとも韓国政府は公式に認めたことはありません。ただ、北朝鮮が兵士をロシアに派遣したことで、論調が変わってきているのは事実です。尹錫悦大統領は武器支援を巡って『柔軟な検討』と踏み込んだ発言を行い、韓国では活発な議論が起きています。しかし原点に戻れば、ロシアのウクライナ侵略を許すことはできないはずです。韓国が積極的にNATOと協力し、ウクライナを支援することは大義名分が立ちますし、国益にもかなうはずだと考えます」(同・軍事ジャーナリスト) デイリー新潮編集部
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