科学技術特派員との強力タッグで臨む羊の飼育 中国浙江省
【CNS】中国・浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)余杭区(Yuhang)の仇山家庭農場内では、羊の鳴き声が絶えない。農場主の鄭冬明(Zheng Dongming)さんにとって、2000平方メートル以上もある羊舎内は富に至る「喜羊羊(中国のアニメの主人公)」だ。 鄭さんは2018年、杭州市科学技術局の仲介により、浙江省農業科学院畜牧所の副所長、杭州市科学技術特派員の王德前(Wang Deqian)さんと畜産業の飼育研究の「ゴールデンコンビ」を組んだ。 杭州市の北西部に位置する余杭区の湖羊(羊の一種)の飼育の歴史は長い。伝統的な考え方では、品質がやや劣る飼料の使用が飼育コストを下げる主な方法だ。しかしそれでは羊肉の質が低下し、出荷周期が長くなり、生存率も低下するなどの問題が生じてしまい、成羊の市場競争力が低下する。 王さんの着任の後、湖羊に粗繊維とタンパク質比率のバランスの取れた「栄養的な食事」をとらせることにした。科学的な飼料配合により、湖羊の生存率が向上した。さらに直感的な変化として、羊がより肥えるようになってきた。飼育効率も大幅に向上し、6か月の羊でも50キロ以上に達している。 飼育者が管理の理念を変えることにより、科学技術特派員の仕事もより余裕が出てくるという。消毒管理や糞便検査などの病気予防作業を強化することが、この二人の共通認識となった。 自動化改造後の羊舎では、飼育員はスイッチを軽く押すだけで、羊のふんがベルトコンベヤーによって羊舎の外の空地に運ばれる。 羊を育てる一方で、王さんと鄭さんは川上・川下産業チェーンの発展を促進している。余杭区の飼育企業にサービスを提供した上で、王さんはチーム型の全産業チェーンサービスモデルを杭州市の臨安区(Lin’an)、建德市(Jiande)などの40以上の飼育企業に広め、良好な社会的効果と経済的効果を得ている。 「畜産業の科学技術特派員の仕事は、プランテーションとは少し違います。川上・川下企業が強く関連しているため、私が1社のトップ企業を支援すれば、その企業は10の川下企業を引き連れていくことができます」と、王さんは述べている。 この1年を振り返ってみると、二人の「旧友」はそれぞれが収穫を得ることができたという。2023年は浙江省で科学技術特派員制度の実施開始から20年目に当たり、王さんは20周年優秀科学技術特派員に選ばれた。 鄭さんは飼育技術を精進する一方で、職場で昇進し、余杭区人民代表にもなった。 王さんと鄭さんの友情による活躍は、浙江省の数千数万人の科学技術特派員が真剣に取り組んだ成果の縮図だ。農家は科学技術者の指導を必要とし、科学技術者は農家の実際のニーズに基づいて科学技術成果を実用化する。双方が互いに補完し合うことで、「論文を田畑に書く」ことが可能になる。(c)CNS/JCM/AFPBB News ※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。