【都市対抗】ベスト4で敗退も…強いキャプテンシーで西濃運輸をけん引した野崎大地
「このチームは野崎のチーム」
【第95回都市対抗野球大会】 7月29日 東京ドーム ▽準決勝 JR東日本東北8-4西濃運輸 第95回都市対抗野球大会11日目。2014年以来の優勝を狙う西濃運輸(大垣市)が準決勝でJR東日本東北(仙台市)と対戦。ここまで勝ち上がったチームを主将としてまとめてきたのが野崎大地(久留米工大)だ。 21年のシーズン後、佐伯尚治監督(九産大)の就任と同時に主将となった野崎。「佐伯監督から『キャプテンをやってほしい。チームを引っ張っていってくれ』と言われました」。今季で3シーズン目となるが「プレーはもちろん、自分は言葉で引っ張るタイプなので、チームの状態が悪いときも沈まないようにハッパをかけてやってきました」とリーダーシップを発揮。佐伯監督も「このチームは野崎のチーム。本人にも『お前のチームだ』と伝えています」というほどだ。 今シーズンはバッティングも好調だった。4月のJABA岡山大会で打率.400(15打数6安打)をマークしたのを皮切りに、都市対抗東海地区二次予選は「毎年、プレッシャーを感じます」というものの、打率.350(20打数7安打)、チーム2位の5打点を挙げて本大会出場に貢献するなど春先から好調を持続した。 「今季は同じことを続けずに、自分に刺激を入れながらバッティングをしてきました。試合中であっても(コンタクトする)ポイントやバットの軌道を変えてみることで良い結果が残せたのだと思います」 6月のJABA北海道大会では茨城トヨペット戦で本塁打。ただ、本人は「自分はホームランバッターではないので、出塁することだけを考えています」と後ろへつなぐ意識でプレーしてきたことも好成績を収めている要因だ。
都市対抗でも止まらないバット
都市対抗でも野崎のバットは止まらない。JR東日本(東京都)との1回戦で2安打を放つと、続く北海道ガス(札幌市)との2回戦も先制のタイムリーツーベースを含む2安打。さらにNTT西日本(大阪市)との準々決勝では同点の延長11回。二死満塁から「打った瞬間に『入った』と思いました」と、ホームランバッターじゃないという言葉を覆すグランドスラムをレフトスタンドへ叩き込んで勝負を決めた。「前の打席から打てる感覚があったので『ストライクが来たら振っていこう』と考えていたところにストレートが甘く入ってきました」。この一発に佐伯監督も「最高の仕事をしてくれました。感動しました」と手放しで賛辞を送っている。 JR東日本東北との準決勝でも初回にライトへヒット。3回裏の第2打席では一死一、二塁からアウトコースのチェンジアップをとらえ、一時、勝ち越しとなるタイムリーをセンターへ放った。 「前半で1点でもリードしておきたかったですし、『このイニングで一気に勝負を決めてやる』というくらいの気持ちで打席に立っていました」 しかし、続く二、三塁のチャンスを相手の好守でつぶしてしまうと、直後に逆転を許し苦しい展開に。5点を追う8回裏は無死二塁から強烈なライナーを打つも一塁手がキャッチ。それでも1点を返して、迎えた9回裏もチャンスを作ったが打順は回ってこなかった。 「『つなげ、つなげ』という気持ちで見ていたのですが……」と野崎はネクストバッターズサークルで試合を終えることとなった。 4対8でJR東日本東北に敗れた西濃運輸。ベスト4で姿を消すこととなり「佐伯監督を日本一にしてあげたかった」と悔しさをにじませた野崎。それでも「仲間とともに、次こそは日本一になりたい」と目標を掲げた。今大会も4試合通算で打率.533(15打数8安打)、6打点と圧倒的な数字を残しており、これからもバットと強いキャプテンシーでチームをけん引していく。 文=大平明
週刊ベースボール