「ポスターも掲示板ももう要らない」劣化した都知事選、前都知事が“改革案”を提言
■ ポスターも廃止せよ 国政では、私は、2001年の参議院選挙に自民党から比例代表に立候補した。選挙区は全国である。北は北海道から、南は沖縄県まで、真夏に全国を駆け巡った。この選挙から非拘束名簿式に変更されたので、政党票よりも個人票が重きをなす。また、掲示板は設置されないので、選挙ポスターは、知り合いの家や施設などに許可を得て貼った。たとえば、ある大手の石油元売り会社が系列のガソリンスタンドへのポスター掲示を許可してくれたので、随分と助かったものである。 ポスターには、いずれの選挙の場合も、選挙管理委員会が発行する証紙を一枚一枚貼っていかなくてはならない。この人手もたいへんで、ボランテイアをはじめ多人数を動員せねばならない。 私は全国を移動するときに、新幹線の車中でポスターに証紙を貼る作業をしたものである。各地の選挙区で立候補している自民党の候補者のもとに駆けつけ、「選挙区は○○、比例区は舛添」と訴え、タッグを組んで選挙戦を戦ったが、選挙区の候補者の事務所からは、「舛添先生、自ら証紙を貼っているのですか」と驚かれたものである。 掲示板を無くすということは、ポスターも無くすということである。ポスター用の写真を撮影するための時間と費用も馬鹿にならない、紙代もかかる。選挙用のポスターは屋外に貼るので、雨風にも強いものである必要があり、その特殊な紙は、値段も高い。 掲示板もポスターも無くなれば、有意な若者が立候補しやすくなる。
■ 動いている街宣車は沈黙を義務化せよ 選挙に金がかかるのは、街宣車を用意しなければならないからである。レンタルなのであるが、自己負担分は安くても20万~30万円は必要である。 参議院選挙のときは、全国を巡るので、候補者の私は、たとえば東京から大阪まで新幹線で移動し、街宣車は事前に高速道路を飛ばして大阪で合流する。街宣車の移動が困難なときには、ハンドマイクを秘書が持って、私と移動し、現地でそのマイクを使って演説するという手をとった。 街頭演説は、不特定多数の有権者に自分の政策を訴える場として必要である。私は、この街頭演説で多くの票を集めることができたと思っている。 しかし、街宣車が町中を移動しながら、ウグイス嬢が手を振りながら候補者名を連呼するのは禁止すべきである。まずは、うるさくてしようが無い。住宅地などでは、騒音で赤ちゃんの安眠が妨げられるなど、弊害が大きい。それに、ウグイス嬢に支払う手当は高く、ベテランになると一日に何万円も稼ぐ。 私は、ウグイス嬢など雇わず、自分の声で事前に政策を説明する文章を書いて録音し、それを軽やかなバックグランドミュージックとともに流した。 実を言えば、私は、街宣車が移動しているときには、音を出すことを禁止してほしいと思う。とにかく、選挙に伴う騒音を減らすためである。街宣車は街頭演説用とすべきで、それは、演台やマイクを備えているからである。