【NBAプレーオフ】チーム一丸のペイサーズがバックスに競り勝つ、タイリース・ハリバートン「大事な1本が決まってくれた」
2勝1敗でリード「本当のスタートはここからだ」
ペイサーズはホームでの第3戦をオーバータイムの末に121-118で勝利し、これでバックスに勝ち越した。とはいえ、かなり厳しい戦いだった。前半を12点リードで折り返したが、後半に入ると全くシュートが入らなくなり、前半は50%を超えていたフィールドゴール成功率が第3クォーターは36.8%、第4クォーターは33.3%に落ち、前半9本決まった3ポイントシュートは後半わずか3本しか決まらなかった。 スピーディーな展開と連動したパスワークによる崩しがペイサーズの特徴だが、チャンスを作ってもシュートが入らない。リズムが乱れてなかなか立て直せないうちに、シュートを打つ積極性を保てなくなり、それがまたリズムを悪くする悪循環にも陥った。 ただ、彼らは粘り強く戦い続けた。第4クォーターに入ってデイミアン・リラードが乗り始めると見るや、アンドリュー・ネムハードがコートのどこまでもピタリと張り付いて追い掛けるマークでボールを持たせない。マイルズ・ターナーは身体を張ってバックスの高さと強さに対抗し、タイリース・ハリバートンとパスカル・シアカムは常にボールを動かす中でも自分が決めるという意思を見せ続けた。 一方のバックスは、個々が激しく戦ってもチームワークでペイサーズに及ばなかった。リラードが封じられた後、足首を痛めて満足に練習できていないクリス・ミドルトンがしぶとくシュートを決めて食らい付き、第4クォーター残り2秒から起死回生の3ポイントシュートでオーバータイムに持ち込む。それでもベテラン揃いのバックスは、しぶとく戦ってはいても延長に入ると攻守の強度が衰えていった。 そして延長残り1分、相手守備陣の警戒がハリバートンとシアカムに寄ったところで、守備で頑張り続けていたネムハードがドライブからのシュートを決めると、第4クォーター以降は放ったシュート1本だけでオフェンスに絡んでいなかったアーロン・ネスミスがコーナースリーを沈めて勝ち越す。ここで再びミドルトンにタフな3ポイントシュートをねじ込まれて同点とされるが、残り6秒の攻めをペイサーズはエースのハリバートンに託した。 バックコートから加速したハリバートンは、パトリック・ベバリーをクロスオーバーでかわしてリムへ飛び込み、バスケット・カウントとなるフローターショットを沈めた。こうしてペイサーズがバックスを振り切り、激闘を制している。 ハリバートンは最後のシュートを「絶対に自分で打ち、決めるつもりだった。今日は全然シュートが決まらない日だったけど、大事な1本が決まってくれた」と笑顔で語る。フィールドゴール22本中8本成功、18得点10リバウンド16アシストのトリプル・ダブルで、ゲームウィナーも決めているのだから『エースの役割』は果たしたと言える。 オーバータイムの5分間、ペイサーズではコートに立った5人全員がシュートを放ち、4人が得点を奪っている。一方でバックスは6本中5本のシュートをミドルトンが打ち、7得点すべてがミドルトンによるものだった。ペイサーズはバックスの仕掛けるスローペースに持ち込まれ、シュートの確率も上がらずオフェンスで苦労したが、チームでボールをシェアするスタイルはブレなかった。 ハリバートンは言う。「これまでやってきたようにエクストラパスを出し続ける。ボールを動かし、全員がボールに触れて、みんながオープンショットを打つ。たとえシュートを打つところまで行かなくても、それでチームは良いエネルギーを出せる」 その良いエネルギーは、オーバータイムにリバウンドの差となって表れた。強くて大きいバックスに対し、オーバータイムにはリバウンドで7-2と圧倒。7リバウンドのうち4つはオフェンスリバウンド。7リバウンドのうち6つはガードのハリバートンとネムハードによるもの。サイズでは負けていても出足の鋭さ、ボールへの執着心で圧倒した。 ハリバートンにとってはキャリア4年目にして初のプレーオフ。「レギュラーシーズンと全く別のゲームだとは思わないけど、一つひとつのポゼッションの重さは感じている」と語る。「この3試合で良い戦いができていると思うけど、まだ2勝しただけで、あと2勝が必要なことを忘れちゃいけない。テンションは上げすぎず、下げすぎず、で行くよ。難しい試合に勝って気分は高ぶっているけど、まだやるべきことがある。本当のスタートはここからだ」