【長崎】「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に 県内でも喜びの声
NCC長崎文化放送
日本時間の5日未明、日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。 【写真】「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に 県内でも喜びの声
その技を受け継いできた県内の酒蔵からも喜びの声が上がっています。 南米・パラグアイで開かれているユネスコの政府間委員会は、日本時間の5日午前3時40分すぎ、日本の「伝統的酒造り」を無形文化遺産に登録することを決定しました。 「伝統的酒造り」は杜氏や蔵人などが、「こうじ菌」を用いて、日本各地の気候風土に合わせた伝統的な酒造り技術で、日本酒や焼酎などの製造に受け継がれてきました。県酒造組合によりますと、県内には23の日本酒や焼酎を作る酒蔵があり、その全てで現在も「伝統的酒造り」に取り組んでいます。 佐世保市江迎町の「潜龍酒造」は、江戸時代中期の1688年から続く酒蔵です。脈々と受け継がれてきた技法で日本酒を製造し、国内外の鑑評会やコンクールで数多くの賞を受賞してきました。 2017年から杜氏を務める中山直さん(55)も「伝統的酒造り」の無形文化遺産登録を心待ちにしていた一人です。 潜龍酒造杜氏・中山直さん: 「この仕事に誇りを持てたというか継承者の一人になったような感じがして重責を担っていたんだと思ったりもしました」 中山さんは22年前に潜龍酒造で事務職員として働き始め、その後、酒造りを手伝う中で杜氏の後継者を任されることとなりました。 潜龍酒造杜氏・中山直さん(54): 「昔の杜氏さんは職人気質なものですからあまり口数が多くなくて見て覚えろという感じなので」 酒造りをする上で大切にしている言葉も先輩から受け継いだものです。 潜龍酒造杜氏・中山直さん(54): 「『和醸良酒』という言葉があります。『和の心は良いお酒を醸し出し』『良いお酒は和の心を醸す』という自分の酒造りのモットーにしています」 一方、課題は後継者の育成です。現在、潜龍酒造では中山さんを含め5人が酒造りを続けていますが、次の杜氏のめどは立っていません。 県酒造組合によりますと、県内で日本酒や焼酎といった「伝統的酒造り」を行う酒蔵の数は、1970年の42から現在の23とこの半世紀で大きく数を減らしています。 中山さんは、ユネスコの無形文化遺産登録が幅広い人に「伝統的酒造り」に興味を持ってもらうきっかけになればと話します。 潜龍酒造杜氏・中山直さん: 「みなさん蔵元に足を運んだりとか若者の日本酒離れがあるので日本酒を飲むところから始めてもらって日本の文化であるんだと認識してもらえれば」
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