阪神2位猛追の原動力・森下翔太のプロ活躍を予感させた大学4年秋の“打撃改革”【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.38』】
森下の打撃は打てる打者の条件が詰まっている!
取材から3日ほど経った東都一部リーグ・亜細亜大戦ではエースの青山美夏人投手(横浜隼人)から先制二塁打を打ちました。しっかりとボールが見えていて、素直にバットが出ていました。良い打者の共通点として、構えが安定していること、捉えた打球がドライブせず、バックスピンがかかった打球を飛ばせること、ストレートに振り遅れないこと、無駄なボール球に手を出さないことが挙げられます。森下選手の4年秋のシーズンはどれも出来ていました。自分の形、打撃のコツを掴んだ感じがあり、打席から自信が感じられました。 プロ入り後、打撃フォームを見ると、バットの位置を耳の近くに置く構えはやめていますが、「耳の横からバットを出す」イメージは今も貫いているように感じます。本塁打、安打シーンの映像を見ると、そのスイングがしっかりとできていて、再現性が高まってきました。 即戦力で活躍するスラッガーは一定以上のスイングスピード、打球速度はもちろん、試行錯誤をしながら、自分の打てる形をしっかりと見出していることが多いように感じます。どんなに飛ばす能力を持っていても、コンタクト力が高い選手も、環境が変わって、考えに迷いが見えると、打撃動作に狂いが生じて、打てなくなります。そんな例をプロ、アマチュア問わず多く見てきました。プロ入り後の森下選手はいつでも自分のタイミング、打撃フォームで打てていますし、想像以上にメンタルが強い選手なのかなと思います。 28日のヤクルト戦では悔し涙を流していた森下選手。森下選手の活躍がなければ優勝争いはできなかったでしょう。まだ日本シリーズ進出は残っています。クライマックスシリーズへ向けて、再び勝負強い打撃を見せてほしいと思います。 *『主筆・河嶋宗一コラム グラカン!』は毎週日曜配信します。