脳梗塞の障害乗り越えピアノ演奏。落語家・桂む雀の生き方/大阪
演奏で多くの人に感動と勇気、次はピアノに挑戦中
以来、精力的にハーモニカ演奏に取り組み、落語の独演会などをしていた兵庫県篠山市の後援会からも「ぜひ来てほしい」と誘われ「桂む雀フレンドシップコンサート」を開いてもらいハーモニカ演奏を披露。すると、客席に同じ病と闘う男性がいた。む雀さんと面会し、生きる勇気を与えられた男性、今では自身でもハーモニカを演奏するようになり、同じ病を持つ仲間でサークルを作ったという。今秋に行われるコンサートには、男性らも参加する予定で、新たな感動と展開を生み出している。 む雀さん自身も新たなステップを踏みだしている。ラジオに出ていた左手のピアニスト・智内威雄(ちない・たけお)さんの演奏に感銘し、智内さんにアプローチ。それが縁で、レッスンしてくれる先生を紹介してもらい、現在も自宅でレッスンに励んでいる。左手だけでも和音で奏でれば厚みのある音が響きわたる。7月1日にむ雀さんも出演するイベントは、300枚のチケットが即完売した。
左手でスマホを扱いツイッターやブログを更新
ハーモニカにピアノ、そして5年前からは友人の勧めでツイッターやブログも開設。「5年前までは死んだ方がマシや。なんで俺がこんな目に合わなあかんねんって生い立ちを悔やんだ。けど、今はこんなんできるのは、ほんまにうれしいわ」。今でも話しをする際は単語が出るまで時間はかかる。だが、友人らはその言葉が出てくるのを自然と待っている。そして担当医は「この状態でこれだけ言葉が話せるのはスゴイ」と話しているという。 人と話す際は、左手が無意識に動き、そばを食べる描写の手つきは、なるほど、落語を見ているようだ。感動を与える立場となった今、これからも精力的に活動を続け、より多くの人に勇気を与えていく。