空飛ぶバイク開発のスタートアップ「A.L.I.Technologies」が破産
(株)A.L.I.Technologies(TDB企業コード:155019928、東京都港区芝公園3-1-8、代表デイビッド・ジェンキンス)は、1月10日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。 破産管財人は飯田岳弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、東京都中央区八重洲2-8-7、電話03-3273-2625)。財産状況報告集会期日は5月14日午前10時。 当社は、2016年(平成28年)9月に元代表の小松氏ほか東京大学で航空宇宙を研究する学生が中心となってクルマやバイク、ドローンなどが自由に空を飛び交う「エアモビリティ社会」の実現を目的に設立。大手インフラ系企業などを得意先に受託開発事業として、創業時よりドローンシステムおよび機体の受託開発のほか、ブロックチェーンデータベースの実装案件などを手がけていた。最近ではドローン開発のノウハウを生かし、実用型ホバーバイク「XTURISMO Limited Edition」の開発を進め、2021年10月に世界限定200台で受注予約を開始し、2023年中の納品を予定していた。 「XTURISMO Limited Edition」は、映画スターウォーズシリーズにインスパイアを受けて開発。空間の自由移動を提供し、国内外を問わず、災害救助やインフラ点検、エンターテイメントでの活用など幅広い実用の可能性を秘めたエアモビリティで、2022年9月に米国・デトロイトで行われた「国際デトロイトモーターショー(北米国際自動車ショー)」におけるパフォーマンスでも大きな反響を呼んでいた。 当社の親会社であるAERWINS Technologies Inc.(米国)は2023年2月に特別目的買収会社のPONO Capital Corp(米国)とDe-SPAC契約により企業合併し、同月にAERWINS Technologies Inc.が米NASDAQに上場するなどDe-SPACによるNASDAQ上場の日本初の事例として大きな注目を浴びていた。当社自体も国内の著名なエンジェル投資家が役員に名を連ねるなど注目されていた。 しかし、中長期的には米国やUAE(アラブ首長国連邦)をはじめとした中東地域でのホバーバイクの拡販を計画していたが、研究開発投資が嵩むなど大幅な赤字決算が続き、2022年12月期は年収入高約7億3000万円に対し、約20億円の当期純損失を計上するなど厳しい運営を強いられていた。 負債は約21億300万円。