「買い物ついでに一票」も スキマ時間に期日前投票がトレンド、路線バスやトラックも活用
突然の解散で「間に合わない」 選管大わらわ
一方、バス運転手が不足しており、路線バスによる移動期日前投票所を断念せざるを得ないケースもある。秋田県湯沢市ではこれまで路線バスを移動期日前投票所としてきたが、バス運転手の確保ができなくなり、23年の秋田県議選ではレンタカー会社から借りたトラックで代用した。「トラックなら市職員でも運転できる」(湯沢市選管)ためで、市内13カ所を回った。トラックの荷台部分に投票箱を置いて即席の投票所とし、投票者には一人一人、階段を使って荷台に上がってもらったそうだ。
ところが、今回の衆院選には、こうした選管の工夫に水を差しかねない側面がある。 「もう間に合いません。解散と衆院選がバタバタで決まってしまったので……」。福島県南相馬市選管の担当者はこう打ち明ける。南相馬市では前回衆院選で、バスを借り上げて移動期日前投票所にし、市内の高校などを巡回した。高校生に選挙への関心を持ってもらうのが狙いだが、今回は見送る方針だ。「バスを学校の昇降口に寄せ、生徒たちに投票してもらっていました。ただし学校にも秋にはさまざまな行事があり、バスを校内に乗り入れさせるには調整が必要です。もう時間がありません」(担当者)というのが理由だった。
低迷の投票率アップへ カギを握る期日前投票
石破茂首相が衆院解散の方針を表明したのは、首相就任前日の9月30日。その直前に行われた自民党総裁選では早期解散に慎重な見方を示していただけに、「手のひらを返された」と語る選管関係者は他にもいる。石破首相は解散方針の表明時、「全国の選管などの選挙準備の観点から本日表明する」と語っていたが、こうした影響は想定外だったのかもしれない。 衆院選の投票率は低迷が続いている。かつては70%を超えた時期もあったが、ここ最近は4回連続で50%台。ほぼ2人に1人は投票せず、棄権している状況だ。こうした人たちにどうやって投票所へ足を運んでもらうか――。そのカギを握る期日前投票をもっと利用してもらおうと、各地の選管で試行錯誤が続いている。【小林慎】
※この記事は、毎日新聞とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。