1980年代以来のガンプラ品薄が映す根強い人気と転売の〝影〟 街の模型店は苦境に
来年、45周年を迎えるが、購入者層は高齢化していないという。バンダイスピリッツの高橋氏は、「30~40代が最も多いが、特定の世代に偏っていないことが強みだ」と説明。「各シリーズにファンがいるほか、ガンプラ自体が進化しているので、かつてのファンがまた戻ってくる。コロナ禍で久々に作って、再びユーザーになってくれた方も多いようだ」と強調する。
今年10月にはガンダム45周年を記念し、1980年に発売された「144分の1 ガンダム」を現在の技術でリメークした「リバイバルキット」(1320円)を発売する予定だ。
■「未組み立て」1万円超も
ガンプラの累計販売は、2023年3月末時点で7億6111万個。もっとも、40年以上の歴史の中で、流通の状況は大きく変わった。ほとんどが国内で製造されているのは当初からだが、輸出が増え、現在の海外売上高比率は50%超。東京・秋葉原の家電量販店の売り場や模型店では外国人観光客の姿が多く、インバウンド(訪日客)需要も大きいとみられる。
背景には動画などで映像作品が世界に広がり、海外にもファンが増えたことがある。ネットフリックスでの新作放映もその流れに沿ったものといえる。
そして、人気ゆえに問題となっているのが高値での転売だ。組み立てることが前提のプラモデルは本来、中古の「未組み立て品」が多く出回ることはないはずだが、インターネットで中古品を売買するフリマサイトでは、メーカー希望小売価格数千円の商品が1万円超で販売されていることが珍しくない。中古品を扱う模型店では棚に多くのガンプラが並ぶが、多くの商品は希望小売価格を上回る値段で販売されている。
ガンプラはほとんどが静岡市の工場で生産されており、今年度内に同市内に設置される新工場は、25年度に本格稼働する予定だ。だが、バンダイスピリッツは新工場の生産能力などを公表しておらず、稼働によりどの程度、品薄が解消されるかは推し量りにくい状況にある。