「ディズニー・オン・クラシック ~まほうの夜の音楽会 2024」指揮者リチャード・カーシー&ナビゲーターささきフランチェスコ インタビュー
――そして、第2部では、『リトル・マーメイド』の名曲の数々が、映像や美しい照明のもと、蘇ります。 リチャード 『リトル・マーメイド』(1989)は、まさにアリエルの「願い」の物語です。二つの世界を一つにつなぎたい思い、そして、それを実現する素敵な物語です。 人魚姫の伝説では、音楽が大切な役割を担っています。人魚の歌声が聞こえると、水兵たちが魔法にかかってしまう。『リトル・マーメイド』のアリエルはそんなことはしませんけどね(笑)。 『リトル・マーメイド』でも、アリエルの歌声が大切な要素ですよね。アリエルは「願い」のために声を犠牲にするんです。そして、物語は……。 今回は、特別にミュージカル版の音楽も演奏します!エリックが歌う「彼女の声」です。アニメーション映画には、エリックの歌は登場しませんでした。満を持して、すべてを結び付けるような美しい歌なんですよ。是非楽しみにしていただきたいです。 ――作曲したのは、もちろんアラン・メンケンさんですね。 リチャード その通りです。アランの音楽には、どんな説明もいらない。彼の音楽そのものに魔法の力が宿っているんです。 ――2020年に開催された「Disney on CLASSIC Premium『美女と野獣』イン・コンサート」では、アラン・メンケンさんと共演されました。 リチャード 素晴らしい経験でした。アランは、温かく、心が広く、優しくて、面白い人。あんなに才能があるのに、驚くほど謙虚。そして、とてもチャーミングなんです。 ――作詞は、プロデューサーも務めたハワード・アシュマンさん。 リチャード 彼の歌詞の素晴らしさにはいつも心打たれます。物語を導く歌詞は、驚くほど知的でスマート。例えば、「キス・ザ・ガール」の歌詞に注目していただきたいです。アリエルの声にならない思いを、仲間たちが形にしようとします。一つの言葉で、物語の瞬間瞬間のエッセンスを描くことができる天才です。 ――今回が「初めてのオーケストラ・コンサート」という方もたくさんいらっしゃいます。 リチャード 是非お待ちしています。「ディズニー・オン・クラシック」の会場に足を一歩踏み入れ、音楽に耳を傾けていただければ、温かい雰囲気の中、物語の世界に自然と誘われるはずです。 フランチェスコ 「ディズニー・オン・クラシック」は、すべてが本物。本物の映画の映像、オリジナル・スコアを用いた生のオーケストラ演奏、そして、NYで活躍するプロ・ヴォーカリストの質の高いパフォーマンス。ディズニーの世界観がお好きな方も、テーマパークがお好きな方も、ディズニー音楽がお好きな方も、クラシック音楽やコンサートがお好きな方も、是非いらしていただきたいですね。 ――ちなみに、オーケストラの演奏は、観客の人柄や気持ちにも影響を受けるというのは本当ですか? リチャード 本当です。物語を共にする中で、お客様のエネルギーが強く伝わってくることがあります。そんなお客様の気持ちに合わせてベストをお届けできるようにといつも考えています。レストランのシェフがおいしい料理を用意するように。肩肘をはらず、ありのままの気持ちでいらしていただきたいですね。お客様は、コンサートを作り上げる上で、大切な一部なんです! ――最近は、サブスクリプションでも音楽を楽しめますから、予習もできますね。 リチャード 確かに。是非。本当に美しい音楽なので、過去のライブ・レコーディングも聴いてみていただきたいですね。 ――最後に、皆様へのメッセージをお願い致します。 リチャード 「ディズニー・オン・クラシック」は、誰もが楽しめるコンサートです。準備はいりません。是非楽しみにいらしてください。このコンサートを通して、ご自身の「願い」や、願いの先にいる誰かに思いを馳せていただけたら嬉しく思います。未来に不安を覚えるような時もあるかもしれません。そんな時こそ、このコンサートがオアシスのような場になったらと思います。明るい未来に向けて、共に願いや夢を持てる場にしたいです。 フランチェスコ 言いたいことをすべて言われてしまいました(笑)。誰かのため、もしくは何かのために行動することは、一番強く、素敵なことだと思います。今年のテーマが 表すように、未来に向けて、皆さんそれぞれの願いと、ステージ上からお届けする私たちの願いが合わさり、より大きな願い、そして行動につながっていく、そんな素敵なひと時をご一緒できたら幸せです。是非「まほうの夜の音楽会」にお越しください! Text:井筒節