震災遺構の「請戸小」に指定管理者制度を導入 福島県浪江町、宮城県のNPOを選定
福島県浪江町は10月、震災遺構「請戸小」に指定管理者制度を導入する方針を固めた。公募の結果、宮城県のNPO法人海族DMCを予定者に選んだ。町議会9月定例会に関連議案を提出し、可決されれば町の直営から切り替える。来館者が年々増え続けている中、民間事業者のノウハウを生かし、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の教訓を伝える展示内容の充実や、さらなる誘客につなげる。 27日、町議会全員協議会で町が示した。請戸小は2021(令和3)年10月に開館。来館者数は年々右肩上がりで、昨年度は約6万4千人が訪れた。町は長期的な運営に向け、多くの人に来訪してもらうためのさらなる工夫が必要と判断。指定管理者制度への切り替えを決めた。 海族DMCは震災の被災地支援を展開し、宮城県名取市にあるヨットハーバーの管理運営も担う。今後、町と協議した上で、請戸小を活用した子どもたちへの震災の記憶継承や、防災意識の高揚を図る取り組みを進める方針。インバウンド(訪日客)需要の高まりを受け、外国人向けの情報発信も強化する考えだ。
太見洋介理事長(47)=福島市出身=は「浪江の歴史を尊重し、複合災害の記憶をしっかりと後世に伝えていく」と決意を述べた。