【卓球】韓国代表監督、呉光憲の申裕斌への手紙「申裕斌だったらできるよ。申裕斌らしくプレーすればいいよ」
今明かされる感動の物語。平野美宇、早田ひなと対峙した韓国の申裕斌と監督のお話
今から30年ほど前、24歳の若者が韓国から日本にやってきた。呉光憲は淑徳大を常勝軍団に育て上げ、日本のNT(ナショナルチーム)のコーチとして2016年リオ五輪の地を踏み、JNT(ジュニアナショナルチーム)監督として世界ジュニア選手権で日本女子を優勝に導いた。 そして、2022年には韓国女子の監督に就任。パリ五輪で韓国は2個のメダルを獲得し、呉光憲は監督としてヒーローとなった。しかし、語られていない感動の物語がある。 2月の釜山での世界選手権大会。地元の期待は大きかったが、準々決勝で王者・中国に敗れた。しかし、相手が中国だというのに韓国のメディアや関係者は容赦なく、代表監督の呉光憲とエースの申裕斌(シン・ユビン)をバッシングした。呉監督も申裕斌も精神的に病んでしまうほどの打撃を受けた。 いったんは辞任を覚悟した呉監督だが、翻意して監督を続け、6月に申裕斌が行く際には直筆の手紙を渡し、励ました。その手紙には「時にはマスコミから批判があるかもしれないけど、それもひとつの力だと思ってください。それに負けたらダメです。自信を持って頑張りなさい。申裕斌だったらできるよ。申裕斌らしくプレーすればいいよ」と書かれていた。 そして迎えたパリ五輪。女子シングルスの準々決勝で平野美宇を大激戦の末に破り、メダル決定戦では早田ひなに敗れたものの、素晴らしいパフォーマンスを見せ、彼女は混合ダブルスと女子団体で2個のメダルを獲得して、韓国のヒロインとなった。 卓球王国2025年1月号掲載 呉光憲[前韓国女子代表監督]インタビューより