「健康のため」にサプリを飲む人が知らない“真実” 自己判断で飲むことで「重い病気を見逃す」リスクも
口から入り、胃腸で吸収されたものは、すべて肝臓に運ばれて代謝や解毒され、腎臓で濾過されて体外に出ていきます。肝臓や腎臓の負担を増やせば、体の負担になるだけです。 もう1つ、サプリメントや健康食品で筆者が問題と考えるのは、「自己判断で購入する」という点です。体に合わないことで体調を崩す可能性が大きいだけでなく、重大な疾患を見落として治療の機会を逃す可能性もあるのです。 例えば、貧血だと思って鉄のサプリメントを購入したとします。しかし貧血の原因はもしかして「がんなどの重大疾患による消化管からの出血」の可能性もあるわけです。
言うまでもなく、医薬品とサプリメントの間には大きな違いがあります。 まず、サプリメント食品であるため、医薬品ほど厳しい審査を経て世に出るわけではありません。 もしご自身がサプリメントや健康食品を購入されているのであれば、そのパッケージをチェックしてみましょう。副作用や危険性の記載が十分ではないことに気付くと思います。 連日報道されている紅麹も、内閣府の食品安全委員会によると、10年前にはヨーロッパで健康被害が報告されています。その危険性から、フランスは摂取前に医師に相談するように注意喚起しており、スイスでは2014年から販売が禁止されています。
このような情報を知ったうえで摂取していた方は、ほとんどいないのではないでしょうか。 ■「魅力的な宣伝文句」で購入 サプリメントを買う人が後を絶たない理由の1つに、「お腹いっぱい食べてもやせる」「飲むだけで疲れが吹き飛ぶ」など、“魅力的な宣伝文句”にあると筆者は考えています。 「やせたい」「関節の不調を取りたい」「髪を増やしたい」など、病院を受診するほどではないけれど解消したい悩みがある場合、体験談とともに紹介される商品は魅力的に感じられます。
また、そういう人の中には、生活習慣を見直して規則正しい生活を実践するのはたいへんだから、手っ取り早くサプリメントで済ませようと考える人もいるかもしれません。 事実、厚労省による調査「令和元年 国民健康・栄養調査」によると、健康食品を摂取している人の割合は、男性が約3割、女性が約4割います。 別の問いを見ると、男女ともに肥満度を表すBMIが普通、および肥満に該当する人で、「関心はあるが、運動習慣や食事習慣を改善するつもりはない」と回答した人の割合が最も高くなっています。