KADOKAWA、下請法違反で公取委から勧告受け謝罪 取引先の報酬約40%を一方的に減額
KADOKAWAと子会社のKADOKAWA LifeDesignが、業務を委託した下請事業者(※)への報酬を不当に低く設定したとして、公正取引委員会に下請法違反(買いたたき)で勧告されたことが11月12日にわかった。 【画像】公取委が発表したKADOKAWAの違反内容を見る 11月8日時点で、「公正取引委員会が下請法違反を認定し、再発防止を求める勧告を出す方針を固めた」と報じられていたが、今回KADOKAWAおよび公正取引委員会から正式に発表された。 ※個人または資本金が5000万円以下の法人
下請事業者との協議なく発注単価を引き下げ
公正取引委員会によるとKADOKAWAは、雑誌『レタスクラブ』の記事作成/写真撮影に携わる下請事業者と十分な協議を行わず、発注業務の単価を約6.3%ないし約39.4%引き下げることを一方的に決定。 2023年4月発売号以降、下請事業者26名に引き下げ後の単価を適用した。 KADOKAWAは勧告を受けて11月12日、公式サイトで謝罪。再発防止へ取り組むと発表した上で、「下請事業者との間で十分に協議したうえで発注単価の見直しを行ってまいります」と報告した。 また、新たな単価の確定後、同単価と支払済の下請代金との差額を、2023年4月発売号分まで遡り下請事業者に支払うとしている。
雑誌『レタスクラブ』事業の収入減少が引き金に
公正取引委員会の発表では、KADOKAWAの上記の行いが下請法の第4条第1項第5号(買いたたきの禁止)に掲げる行為に該当し、「違反する事実が認められた」と説明。 KADOKAWAおよびKADOKAWA LifeDesignが下請事業者への発注単価を引き下げたのは、雑誌『レタスクラブ』の発刊事業における販売収入や広告収入の減少が関係しているという。 収入が減る中で資材費等のコストも上昇していたため、収益改善を計画。下請事業者へ発注単価を改定すると事前に通知したが、一方で十分な協議を行わなかったことが今回問題視された。
ホロライブ運営カバーも下請法に違反 公取委から勧告
下請法を巡っては10月25日、VTuberグループ・ホロライブを運営するカバー株式会社が規定に違反していたことが判明。 公正取引委員会から勧告と指導を受けたことが話題になったばかりだ。 カバーは所属するVTuberのLive2Dモデル/3Dモデル等を制作する下請事業者23名に対し、発注書等からは作業が必要であることが分からないやり直しを合計243回無償で行わせていた。 また、代金の支払い遅延も多発。中には数年単位で支払いが遅れたり、代金の支払い前に下請事業者による制作物をVTuberが使用していたケースも確認されたという。 このように、直近でエンターテインメント産業に関わる大手企業が、下請法違反によって、公正取引委員会から相次いで勧告を受けている。
フリーランス保護法が施行 公取委が厳格な姿勢
カバーに続いてKADOKAWAも公正取引委員会による勧告が行われたことで、2ヶ月連続で大々的に下請法違反が報道されたことになる。 公正取引委員会による勧告が続く背景には、フリーランスの保護を目的として、11月1日から施行されたフリーランス法がある。 フリーランス法は、下請法では守られる側である中小企業および小規模事業者も、不当な業務を下請事業者に押し付けないよう規制を守る側に回る新法だ。さらに、対象となる取り引きの幅も下請法より広がっている。 このフリーランス法の施行によって、公正取引委員会はこれまで以上に不当な行為を取り締まる姿勢を示しており、各社対応が迫られている。
KAI-YOU編集部