第93回選抜高校野球 県勢2校、春の吉報 仙台育英/柴田(その2止) /宮城
<センバツ高校野球> ◆仙台育英 ◇全国屈指の実力 県大会、東北地区大会 全勝 3年生が引退して新チームとなった昨秋、仙台育英は県大会から東北地区大会までの9試合全てに勝利し、全国屈指の実力を見せつけた。東北大会では花巻東(岩手)や羽黒(山形)などの強豪校を次々と撃破。決勝で柴田との県勢対決を制して連覇を果たした。 須江航監督が「全国屈指」と太鼓判を押す投手陣は層が厚く、140キロを超える投手が5人ベンチ入り。先発だけでなく中継ぎや抑えもできる投手がそろう。エース右腕の伊藤樹投手(2年)、4試合で25奪三振の松田隆之介投手(同)、1年生左腕の古川翼投手らの継投で勝負する。 打撃陣も強力で、秋の公式戦のチーム打率は3割6分7厘。東北大会の決勝でともに満塁本塁打を放った秋山俊選手(2年)や吉野蓮選手(同)らを中心に高い得点力を誇る。盗塁や走塁を絡めた組織的な攻撃も魅力で、須江監督は「過去3年間のチームの中では圧倒的に走れる選手が多い」と評価する。 故障者が相次いだため、ベストメンバーを組めない試合が多かったというが、それでも新たに起用された選手たちが活躍し、チームのレベルアップにつながった。悲願の「日本一」に向けて、背番号争いはますます激しくなりそうだ。 ◇文化・運動部、全国的に活躍 仙台育英学園は1905(明治38)年、私塾「育英塾」として加藤利吉氏が創立した私立校。宮城野校舎(仙台市宮城野区)と多賀城校舎(多賀城市)に分かれ、野球部の練習場「真勝園」は多賀城校舎にある。 建学精神は「至誠」「質実剛健」「自治進取」。部活動は文化部・運動部ともに盛んで、書道部は昨年の「書の甲子園」(国際高校生選抜書展)で準優勝した。陸上競技部は全国高校駅伝に男子が7年連続31回、女子が29年連続29回出場している。ラグビー部やサッカー部も全国大会の常連として知られる。 ◆柴田 ◇チーム一丸で躍進 東北地区大会、準優勝 柴田は1986年の創部から35年目にして、念願の甲子園出場の切符を手にした。 昨秋はチーム一丸となって強豪校に立ち向かい、県大会から東北地区大会まで9試合に勝利。両大会とも優勝した仙台育英に敗れはしたが、県第3代表として出場した東北大会では、甲子園常連校の八戸学院光星(青森)や日大山形(山形)といった他県の第1代表を次々と破り、決勝まで勝ち上がった。 2年生の右腕エース・谷木亮太投手は、11試合すべてに登板して防御率2・76と安定したピッチングをみせ、躍進の原動力となった。昨夏まで変化球はカーブとチェンジアップしか投げられなかったが、短期間でスプリットやスライダーといった新たな球種を覚え、投球の幅を広げた。 打線も勝負強い。3番の舟山昴我(こうが)選手(2年)は4割8分8厘、6番の沼田大輔選手(同)は5割3分3厘の高打率をマーク。5番の村上太生輔選手(同)も3本塁打を放ち、11打点を挙げた。両大会を通じて失策8と守備も安定している。 就任11年目の平塚誠監督は「冬場にしっかりとトレーニングを積んで、甲子園で強豪校と渡り合えるようなチームを作っていきたい」と話し、センバツに向けてさらなるレベルアップを目指す。 ◇プロ野球選手や日本代表ら輩出 柴田高校は1986(昭和61)年、県内初の普通科と体育科を併設する公立高校として開校した。生徒数442人。校訓は「自律・敬愛」「英知・創造」「忍耐・強靱」。 「夢実現」のスローガンのもと、スポーツを通じた人格形成に取り組んでいる。これまで多くの日本代表選手やインターハイ優勝選手を輩出。野球部の卒業生にはプロ野球ロッテの小坂誠・2軍コーチらがいる。 桜の名所として知られる船岡城址公園の清掃活動や、2019年の台風19号の被害が大きかった丸森町での災害ボランティアなども行っている。 ……………………………………………………………………………………………………… ◆仙台育英 2020年秋季の成績 ◇県大会 2回戦 ○11―4 古川工 3回戦 ○10―0 仙台城南 準々決勝 ○9―0 東陵 準決勝 ○12―2 柴田 決勝 ○3-0 東北 ◇東北地区大会 2回戦 ○7―0 湯沢翔北(秋田) 準々決勝 ○11―2 羽黒(山形) 準決勝 ○1―0 花巻東(岩手) 決勝 ○18―1 柴田 ……………………………………………………………………………………………………… ◆柴田 2020年秋季の成績 ◇県大会 1回戦 ○7―0 白石 2回戦 ○7―2 東北学院榴ケ岡 3回戦 ○7―1 聖和学園 準々決勝 ○6―1 仙台一 準決勝 ●2―12 仙台育英 3位決定戦 ○8―4 古川学園 ◇東北地区大会 1回戦 ○7―2 学法石川(福島) 2回戦 ○6―2 八戸学院光星(青森) 準々決勝 ○15―10 東日大昌平(福島) 準決勝 ○6―0 日大山形(山形) 決勝 ●1―18 仙台育英